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2013.03.30

英雄の書

宮部みゆき氏『英雄の書』読了ー!
どうやらこれはファンタジー小説のようで、同著『ブレイブストーリー』のよう
な内容になっていますね。

英雄の書 (カッパ・ノベルス)英雄の書 (カッパ・ノベルス)
(2011/05/19)
宮部みゆき

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現実社会とファンタジーの融合。
森崎友理子は小学五年生。ある日、中学生の兄・大樹が同級生を殺傷し、
失踪するという事件が起きた。兄の身を心配する妹は、彼の部屋で不思議な声を
聞く。「ヒロキは『エルムの書』に触れたため、“英雄”に憑かれてしまった」。
大叔父の別荘から彼が持ち出した赤い本がそう囁いていた。友理子は兄を救い出すべくたった一人で、英雄が封印されていた“無名の地”へと果敢に旅立った。
(内容データベースより)

以前は財布が意志を持っていましたが、今回は本が喋ります(爆)
本に導かれるまま、友理子は兄を"英雄"から救うため別世界へと旅立つ---
「英雄から救うってどういう事?」と思われる方もいるかと思いますが、この世
界では"英雄"とは今現実に流布している英雄とは違い、悪をも司る存在になっている。(うーん、説明が難しいな・・・;)
英雄は善でもあり、悪でもある「黄衣の王」なのだ。
・・・・やっぱり上手く説明できませんね、申し訳ない・・。
ま、とにかく(爆)尊敬する兄が突如殺傷事件を起こし行方不明となっている。
それはどうやら"英雄"に魅入られてしまった為であり、その兄も"英雄"も別世界へと行ってしまったので追いかける事になったわけだ。うん。
ファンタジー世界小説なので結構「世界解説」が長く、中々ストーリーにのめり
込めない。しかも"英雄"の意味が現実社会とは違っている為その齟齬も埋められず、益々入り込めなくなった。
大体なぜ"英雄"を使ったのだ。
「英」と「雄」に込められた漢字・言葉の意味を総スルーしているではないか。
日本人ならば文字一文字だけでも様々な意味や用途が多様なのだから
その辺りをもっと考えて欲しかったな。
一言この『英雄の書』感想を言うと・・「う~ん、尻つぼみだな」という感じ。
最初は壮大なファンタジー世界が広がっていくかと思いきや、後半に従って急速
に物語が狭まりあっというまに終結してしまう印象。
旅に出発するまでが7割、旅から終結までが3割、みたいな流れで
これならシリーズにするべきなんじゃないかと思った。それともなるのか?
そうだとしても、一つの"物語"が終わるのに急速であっという間。
上下巻になっているのに・・あまり長く感じなかったし。
内容の感想からしても・・正直あんまりなぁ・・という感じ。
宮部みゆき氏作品にしてはハズレの感想。
そもそも自分は宮部氏のファンタジーにはハマらない人間なのかもしれないな。
『ブレイブストーリー』もあまり・・・だったし。『ICO』は好きだったが。
主人公友理子が小学生に感じないのもその感想理由。
小学五年生といえば物事を考えられる年齢にしろ、まだまだ子供。
その「子供っぽさ」の使い方がイマイチ効果的ではないし、「え?そこで子供っぽさ出しているの?」という印象がずっと拭えなかった。
そして変な部分で大人っぽい理屈を言い出すし・・・こんな女の子いるのかな。
結構ワガママだし、自分主張が激しくてあまり人の話を聞かない・・・見ていてイライラするタイプの主人公だったな。
かといって終盤まであまり成長もしていないし。うーん・・
自分としては続編が出ても暫く手を出すことはないでしょう。
結末も「え、それでいいの!?」という展開だったので。











以下はネタバレ。











色々な世界観と設定を考える力はさすが!と思わせてくれる
宮部氏だが、前述した通り今回の話は急速に終結しすぎ・・。

しかもお兄ちゃんそこにおったんかいっ!(爆)

旅の最初“無名の地”で出会った少年僧ソラ。
彼こそが"英雄"に魅入られていた大樹だった。そして最後は"英雄"と一つになり
(?)"物語"は終わってしまう。
ここまで引っ張っておいてそれはなぁ・・意外な真相で驚いた!というかは
そんなオチで終わらすのか!という思いが強い。
編集が間に合わなかったのかという位に(爆)
結局現実社会に生きている森崎家は何も知る由がなく、ただ犯罪を犯した息子は
永遠に行方不明というある意味最悪な結末になるわけだ。
あんなに必死だった母親がただ哀れですね・・。
"英雄"にしろ“無名の地”にしろ色々突っ込み所があるだけに今回残念な作品だった。
それでも読み切ったのは宮部しパワーだろうなぁ。
やっぱりこの作家さんは好きですから。
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Posted at 20:20 | 宮部みゆき | COM(0) | TB(0) |
2012.12.19

おそろし

宮部みゆき氏『おそろし』読了ー。
宮部氏の時代物ですね。時代モノなのに読みやすい事折り紙つきの宮部氏!

おそろし 三島屋変調百物語事始おそろし 三島屋変調百物語事始
(2008/07/30)
宮部 みゆき

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今回の主人公は17歳のおちか。
叔父の家三島家で女中仕事をしている。
その主人である叔父の酔狂(?)から三島家に奇談・不思議話などが持ち込まれ、おちかはその聞き手をやらされることになる。そんなおちかの連作短編集である。

曼珠沙華
凶宅
邪恋
魔鏡
家鳴り


おちかには何やら曰く・・・というか影がありそれが元で叔父の家で女中しているのだが、その話もこの作品、否シリーズの肝になってくるかもしれない。
あ・・・でも次作ではそうでもないかな?(爆)

やっぱり読みやすく、面白い作品になっていると思います。
けれど自分としては・・・宮部氏時代ものの中ではやや質が落ちるかなー・・・
時代物不思議話だったけども・・・本当の不思議話連作短編だったから、自分としては不思議とみせかけて・・の方が好みだったからかな。(謎)











以下はネタバレ。













曼珠沙華
えらのはった大人しそうな藤吉という男の話。
彼は三島屋の黒白の部屋------おちかが不思議話を聞く部屋にやってきた途端、青ざめて倒れこんでしまった。慌てて介抱してようやく冷静を取り戻した・・・どうやら藤吉は庭に咲いていた曼珠沙華を"恐れている"らしいのだが・・・?
その恐れる理由について話を始めた。
彼には蔵吉という兄があり普段はまじめで働き者だったのだが、ある日堪忍袋が切れてしまい殺人を犯してしまったのだ。その罰で蔵吉は島流しに遭い、藤吉達兄弟はバラバラになってしまった。
その後は働くも、兄の犯罪を知る人たちによって職を追われたり、崩れ落ちるように苦労を重ねていきついには兄とのことを隠す事によって、今の職に落ち着く事が出来た藤吉だった。
そんな時兄蔵吉が島から釈放されて戻ってきたのだという知らせを受ける。
だが今までの苦労は全て兄のせいだという事で兄弟たちは誰も蔵吉を迎えに行くこともせず、藤吉も兄の顔を見ることは避けていた。
そしていずれ兄の事がばれるのではないか、という恐怖と人殺しをしておきながら自分は元の職場に戻り、他兄弟たちの苦労を知らない兄を憎み始めたのだ。
そしてそれから藤吉は兄の死を願うようになり-----数日後、兄は鴨居で首を吊った。
兄を預かっていた親方の話から蔵吉は死ぬ数日前から庭に咲く曼珠沙華に魅入られるように見つめていたという。そしてその曼珠沙華の間から人の顔が見つめていた、と-----。
きっと殺された兄の大工の事だと思っていた藤吉だが、実はその顔は自分だったのだ・・・

故に藤吉は曼珠沙華を見て恐怖に慄いたのだった・・・
兄を死ぬように曼珠沙華の間から呪っていたのは自分の生霊だったのだ・・・そして今これからは兄の顔が見えるのではないか・・・。

うむ・・・恐ろしいものですね。
でも本当に時代は違えど・・・人間やること思う事は同じ。それも恐ろしい。
きっと殺人事件の犯人家族は同じような目に遭っているのではないだろうか・・・東野圭吾氏『手紙』でも同じように書かれていました・・。
悲劇は悲劇を生んでいき、憎悪を生み落して増幅させて・・何の関係もない第三者の悪意さえ呼び起こしていく・・・最悪の負の連鎖。






凶宅
おたかという女性の自分の家で起こった不思議な出来事の話。
錠前造りの父親はある日大きな屋敷の前で虫干ししている風景を見、
虫干し=蔵があるという事でその屋敷で錠前の営業をした。
その話の最中、「この屋敷で一年過ごせば100両やる」と言われ
父親は喜んだが、母親は「いかにも胡散臭い」と言って辞退しようと言った。
しかし、父親からみすみす100両を見過ごすつもりかと強行され
一家皆で屋敷へと向かった------
邪恋はおちかが抱える「影」の話。
何故おちかは叔父の家に預けられ、女中見習いをしているのか?
自分を必死で戒めているのは何故なのか・・・ついにおちかは
その胸中を女中頭おしまに打ち明ける。
魔鏡
幼い頃から身体が弱く遠くに預けられていた姉お彩が絶世の美女となり戻ってきた。
そんな姉を温かく迎えた家族とそこで起こった恋悲劇の話。
家鳴り
これは今までの不思議話の「決着」が詰め込まれた話となっている。
今まで語られてきた不思議話は連作短編集であったが、ここに来て長編を思わせ
るような展開となってくるので、今までの登場人物を覚えたまま読み終えること
をおすすめする(爆)
さすがは宮部氏の時代もの、と言うべき読みやすさを引き込み力ではあるが
自分の中では・・・やや見劣りするという感想。
勿論面白いし、よく描かれているなぁと感じるのだが・・他の宮部氏時代物がレ
ベル高いので「う~ん、あんまりかな」と思ってしまう。
自分としては人間心理的"おそろし"が描かれているのかと思っていたので
本当に不思議話だからちょっと残念(意味不明)
どうやら続編があるという事であるが・・もう少し時間がたったら(でも人物は忘れない、程度に)
手に取ってみようと思う。

短編集だが、前述した通り家鳴りで長編めいた構成となっているので
全体を通したネタバレ&感想になる。
とりあえずは・・おちかの過去でしょうか。
確かに自分を責めたくなるような重い過去を背負っていましたね。
死に掛かった(爆)所をおちかの父親が助け、その後奉公人となった松太郎。
おちかに縁談話が持ち上がってきた頃、からかい半分で松太郎と
くっついてしまえばいい、と囃し立てる周囲・・しかし心根では
既に決められている婚約良助者がいたり・・
人の気持ちを軽んじた結果の悲劇とも言えるでしょうね。
主人公じゃなかったら・・・と、いうかこんな女の子を
主人公にしたのかよ、っていう位やな娘だなと思いますね。
おちかはむしろ主人公の女の子に
「そんな事したら相手が傷つくの当たり前じゃない!
 ずっと反省して供養してあげなよ」と叱責する側の
"連作短編集で出てくる一話の主人公格娘"レベルである。
宮部みゆき氏が書く女の子としては何だかな・・・
何だかんだで自分勝手だし、悔いているのは・・そして悔い続けるのは当たり前だ、という事をしたと思う。
人の心を傷つけ怒らせたのは別人物だが、それを黙って見ていただけでなく
怒らせた人物が殺された後は自分だけは助かりたい、自分は何も言っていないか
ら悪くない、という性根。
嫌な奴だけど、結構いるこういう人という像でもある。
自分だって嫌だと言いながら、いざとなるとこういった醜い性根を出してしまう
可能性だってあるのだ。
だからこそおちかの気持ちも判るが、やっぱ嫌な感じ(爆)
最終的に連作短編集の大半は一つの話へと繋がっていく---
"凶宅"という話で起こった悲劇の謎が最後に明かされることになるのだが・・
ここが何とも現実から離された世界の話となる。
「本当に不思議な話」(ファンタジーめいたもの、霊現象など)と
「不思議と思わせた話」(何らかのトリック等で不可解に見せた人間の仕業)
と弐種類に分けたとき、前者になるタイプ・・
まぁつまりは推理でもミステリーでもなくファンタジーに近い話となっていたようだ。
"凶宅"では唯一の生き残りとされていたおたかが実は毀されており、
彼女の家族は皆死んでいた---
そして最後"凶宅"の舞台となった屋敷に向かったおたかは、そこで屋敷に取り込
まれそうになりながらも周囲の人たちに助けられ、窮地を逃れた。
そしてそこで出会ったのは今までおたかが聞いてきたお話しに登場した人達・・
だがその人たちは皆死んでいる筈の人達なのだ。
そう、この屋敷は"そういう場所"でありまた人を求めていたらしい。そしておちかはそこで松太郎の姿を見つける。
結論としては・・まぁ死人が行くべきところへ行き、収まった形になるのだが・
・続編があるように、"凶宅"は残ったままでまだ悪事を働かせる気満々である(爆)
続編でおちかはどう立ち向かっていくか・・は、判らないが
何だかザラザラ感が残る終わり方だと思った。
こんなあからさまに「まだやるぞ」感を残さずとも・・もっと余韻が残る書き方
をしてもいいんじゃないかな、と思った。
終わった・・けどやっぱりまだです。あ、やっぱおわり・・と、思ったけど
もっとやるかもね みたいな
こびりついた不満が残った。(爆)





Posted at 20:56 | 宮部みゆき | COM(0) | TB(0) |
2011.10.08

ドリームバスター

『ドリームバスター』読了!


ドリームバスタードリームバスター
(2001/11)
宮部 みゆき

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宮部みゆき氏の長編ファンタジーという事で読んでみた作品です。
ハードカバーだったのですが、成程絵柄がまんまファンタジック(笑)
そして愈愈読んでみると、ファンタジーはファンタジーですが
現実社会も織り込まれていましたね。
「ドリームバスター」とはほぼそのままの意味、"夢の中の狩人"と言うものでしょうか・・

物語の舞台は概ね夢の中です。

その夢は、現代社会に住んでいる我々と同じ世界観、
会社勤め・主婦・学生と言った人達がみる夢になります。
彼らがみる夢の中に登場する世界・住人が「ドリームバスター」世界
=惑星「テーラ」となっていて、その世界と現代社会の世界とを入れ替わりで
ストーリーは進んでいきます。
テーラには自在に移動・保管を行えるようにする計画「プロジェクト・ナイトメア」
が行われ、その実験が失敗し大惨事を引き起こした。
と同時に実験体として使われていた収監中の凶悪犯たちが
その惨事を機に脱走、「夢の中」に紛れ込んでしまう。
その夢はテーラの人達とは違う世界の住人の夢の中で
夢から凶悪犯に体を乗っ取られてしまうという事が判った。
そこで生まれたのが、「ドリームバスター」。
夢の中に逃げ込んだ凶悪犯たちを捕まえては役所(?)に送り込んで
その報酬で生活している人達だ。
主人公シェンと師匠のマエストロはそのドリームバスターとして活躍している。
視点は凶悪犯が逃げ込んだ夢の主たちから語られていく。

ドリームバスター世界はまんま、ファンタジーですが
そこに「夢の主」が現実社会の人間・世界があるだけ
ファンタジー色を少し薄めていて、中和されている感じ・・・
シェン等夢の中=テーラの住人はドリームバスター
夢の主、現実社会で夢を見ている人間はドリームパーソン
と呼ぶらしい・・・なるほどね(苦笑)

D・P達が抱える悩みや問題をD・Bや夢に巣食う極悪人達と向き合う事で
自分の心とも向き合っていく物語でもある。
後半にはテーラの世界で抱える問題やシェンなどが抱えている問題も
浮き彫りにされており、その辺りは完全ファンタジー物語だ。

『ドリームバスター』は第一作を書く段階から長編にしようとしていた節がある・・
元々宮部氏はそのつもりで書き始めたのかもしれないな・・・
そんな感じのストーリー構成。
凶悪犯の人数や、シェンの抱えた「問題」とか。

正直、自分の感想としては
「宮部氏が書いたのではなかったら、読み切れなかった」というもの・・。
流石グイグイ読ませる文才ではあったが、内容や面白さは
自分にあまり合わなかったかなぁ・・・。
なんでだろう?結構ファンタジー色が強かったし、シェンの恰好とキャラクターかなぁ(苦笑)。
続編がたくさん出ているようだが、自分が読むとしたら結構時間が経ってからだと思う。

ファンタジー色が強いので、特にネタバレ無し。
あるとしたらシェンの過去とかになるかなぁ・・。

Posted at 21:10 | 宮部みゆき | COM(0) | TB(0) |
2011.09.04

名もなき毒

宮部みゆき氏、『名もなき毒』読了ー。

名もなき毒名もなき毒
(2006/08)
宮部 みゆき

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表紙や名前からはどういった内容か把握できなかったが
宮部みゆき、ということなので読んだ(笑)
やはり宮部みゆきである。
内容はまぁ・・ミステリーだろうか。
相変わらず読みやすく、社会問題や現代社会の人間像を織り交ぜて面白かった。

コンビにで紙パック入りのウーロン茶を散歩の途中買って飲んだ老人(古屋明俊)が道端で倒れ、そのまま死亡した。
調べてみると彼が買ったウーロン茶には青酸カリが仕込まれていたのだ。
同様な手口で死亡している人達がいることから、この事件もまた同様の無差別殺人事件として捜査されることになったのだが・・・。

語り手は普通の大人しいサラリーマン、杉村三郎。
普通の人物であるが・・一点普通でない所は令嬢と結婚した事。
職場の会長(社長だったかな・・)は義父であり大富豪である。
その事は社内で知れ渡っているが、職場の仲間はサバサバしている人達ばかりであり、至って普通に生活をしていた。
・・・・のだが
ある日派遣として問題のある女性が赴任した。
遅刻はする、ミスはする-----という事は一般にある事だが、彼女は毎回毎回言い訳をしミスを繰り返しては逆キレ・・・勿論職場で許されるはずもなく、クビとなった。
しかし、彼女はその事に関しても逆キレをし職場でセクハラに遭った・嫌がらせを受けた等事実無根を言い触らして、クビを切られた後も会社(職場)につきまとっていた。

手を焼いた杉村は私立探偵で元・刑事という北見という男性を訪れる。
そしてそこで出会ったのが無差別殺人事件で祖父を殺されたという女子高校生であった。

ストーリーとしては大きくして上記二件の問題を筋に進んでいく。
嫌がらせをする元社員原田いずみと、無差別殺人事件。
両方にはどのような繋がりがあるのか?名もなき毒とはどういったものなのか---が作者の伝えたいことなのではないか、と思言った。

嫌がらせをする原田いずみがめちゃくちゃムカツク女でしたね。
これだけはネタバレ前にも言いたい。




















以下はネタバレ。
















連続無差別殺人事件の背景にあるもの・・・『毒』
それは色々な形や色を持っている・・・という事を宮部氏は伝えたかった
・・・・・と思う(ぇ)
無差別殺人を行っていたのは、祖母孝行の大人しい青年だった。
けれど・・こんな恐ろしい事を行っていたんですね。
まぁ、解る気がしますが。
同時に、最期とうとう愛娘を人質にとられていた杉村太郎もキレた。
自分はとっくにキレていたけど(爆)、彼は原田いずみからの仕打ちを
あくまで冷静に受け止めていたけれど、やっぱりムカついていたんだねー
と同じ印象で「人はどこかで鬱憤を晴らさないとやっていけない」説確定(ぇ)
蹴りを見舞うとは結構派手な攻撃だったねぇ。
まぁやられても無理ない程ムカつく女ではあったが。

ただ、青年が行った無差別殺人はダメだろう・・・
いくら自分が辛くて苦しくて、世の中の理不尽さにもがいても
無関係の人たちを殺すのは・・・凶悪である。
実際、祖父を殺された女子高校生は全く関係ないのに苦しんでいたし、苦しかった。

もっと別の方法で理不尽さを表してほしかった。
これも一種の『毒』だろうが------『毒』が多すぎるね、この世は。





Posted at 19:53 | 宮部みゆき | COM(0) | TB(0) |
2011.01.30

孤宿の人

孤宿の人 上孤宿の人 上
(2005/06/21)
宮部 みゆき

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孤宿の人 下孤宿の人 下
(2005/06/21)
宮部 みゆき

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主人公の「ほう」は、阿呆の「ほう」という名を持つ幼い女の子。
厄介払いで金比羅参りに出され、丸海で置き去りにされるが、縁あって匙(医師)の井上家で下女として奉公する。人一倍"遅れている"ほうは、以前の奉公先で苛められたが
今の奉公先、井上家では読み書きを教えられたり優しく扱われて平穏に過ごしていた。
ところがある日突然事件は起こる。
同時期に江戸から乱心して妻と子供2人、家来3人を殺害した元勘定奉行の加賀という男が丸海藩に流されてきた。丸海藩が預かることとなった加賀殿・・幽閉場所は15年前に奇妙な病気が流行り
家人ほぼ死んでしまったという曰くのある浅木家の別邸、涸滝。
加賀殿がやってきた事により、丸海藩では様々な災厄に見舞われるが-----

またも読んでしまいました(?)宮部みゆき氏時代物!
上下巻ということで『ぼんくら』『日暮らし』を思い出しますが(え)、今回もまた面白かった!
似たようなパターンかな・・と思っていたけれど、後半では結構ずしり、とくる展開があり、
その点では『ぼんくら』『日暮らし』とは区別化出切ると思いますね。
何より主人公の「ほう」が良いです。
なんと愛らしい・・すごく頭なでなでしてぎゅぅっと抱きしめたくなる!!
醜い思惑と陰謀が錯綜する中、一つだけ透き通った光を放っています。切ないほどに・・

この作品は重い・・・と思います。
何より人の気持ちが重い・・!
「どうすればいいんだ!どうしようもないのか!?」というもどかしさと怒りと
時代・「お上」都合に巻き込まれ、翻弄された悔しさも滲み---本当に哀しいです。
ラストは涙、涙・・ですね。






以下はネタバレ






時代とはいえ、何とも理不尽さを感じずにはいられない・・・
と、思えば現代に通ずるものも感じる作品ですね。
結局人間は何十年、何百何千年経っても基本的なものは変わらない。
「ほう」を優しく慈しんでくれた琴江が毒殺されてしまった。
犯人は、自分の男を奪われたと思い込んだ女美弥。
そしてその後ちゃっかり男といちゃついているし。
しかし、最悪なのはその後
美弥は丸藩名家の娘だから、彼女が殺人を犯してしまった事を隠蔽しようとする。
江戸から送られてみた罪人加賀殿を預かる役職・物頭の家が美弥の家だから---
妹を殺され、悔しさに震えながらも丸藩の為に口を噤む啓一郎。
想いを寄せていた琴江が殺されたにも係らず、怯えて沈黙する町役所の同心渡部一馬。
啓一郎の為に耐える女引き手の宇左。
それぞれが丸藩を舞台に苦悩し、苦しい葛藤しており
なんともやりきれない気持ちになる。
しかし、ここで「ほう」も主要人物で登場。
この娘の純粋で清廉な心が一時の温かさと光を映し出している。
ほうの存在は本当に貴重ですねー。

最初は琴江事件を巡った話で物語は進行する。
公では琴江は病死である、となり真相を知る者は
ごく一部に限られ、その「隠蔽」によって起こる事件も発生してしまう。
加賀殿を預かる、という事がかなり「根深い」ものだと分かってくるのだが、
これ以上探ると命の危険に晒されてしまう---
この辺りの緊張感は本当にスゴイですね。
宮部氏の表現力・描写力の力量を感じます。それがまた後半につれて
大きくなっていくのですが、まぁそれは後述します。
最初は「ほう」視点が多いのですが、中盤は宇左が多い・・かな?
彼女は女なのだが引き手で、周囲から馬鹿にされながらも懸命に仕事をしている。
琴江事件の真相を知る一人の人物として、彼女も苦しんでいましたね。
何より啓一郎へ想いを寄せている事で口を閉ざしている。
途中で彼女が「ほう」を引き取る事になり、一緒に暮らすのだが
そのひとときはとでも貴重で幸せな時だったと思う。
しかし、ほんの僅かで「ほう」は涸滝・・・加賀殿へ奉公に出されてしまう。
それは何とか止めたい宇左であったが、そこでもやはり啓一郎へ想いにより
「ほう」を送り出してしまう。
この辺りが「おぉい!!ほうより啓一郎が大事かー!!!」と突っ込んでしまいましたが
彼女の立場からしても断れない、という事がわかります。
でも、結局啓一郎がいいんだな・・と少し蟠りありますね・・・。
そうして「ほう」は一人、丸藩で謎と恐怖の象徴である涸滝へと向かう。

そして後半、丸藩全体が侠気と喧騒に包まれます。
江戸から来た加賀殿が妻子を殺した大悪人であり、彼が曰くある
涸滝に幽閉されている事で、領民全体に緊張とじんわりとした恐怖を与えていたのだ。
そこに重なったのが天変地異。
突然の大雨や藩全体が揺れるほどの雷が発生し、恐怖と不安が入り混じって
皆の間で一気に狂気が噴出---
その後はもう何が何だかわからない状態(爆)
喧嘩や火事、暴動や破壊活動と扇動、あらゆるものが暴発し、藩全体が手の付けられない
状態へと陥る。
引き手として騒ぎを収めようと奮闘する宇左、けが人治療に奔走する啓一郎・・
人も倒れ、建物も倒れていく中藩で一際大きな雷が鳴り響いた。

そしてラストになるわけですが・・・
はぁぁ・・なんと切ない、哀しいものかな、です。
沢山の人が死んでしまいました。
正直、最初はこんなに重い物語とは思わず・・・涙が零れます。
心に残るのは石野さんとの事もそうですが、やはり「ほう」と加賀殿のやりとりですね。
涸滝に来てから「ほう」はいままでと同じような奉公をさせられていた。
違うのはいつも屋敷にいる人達が入れ替わるのと、
ある区域には近づかない事---つまり加賀殿が寝泊りしている区域だ。
しかしある日、その屋敷に曲者が侵入し「ほう」は混乱の中
慌てて軒下に逃げ込んだ。そしてどこかも分からない内
近づいてはいけない場所--加賀殿の部屋の下に入り込んでしまって
側近の者に見つかり、斬られそうになった所を加賀殿に救われる。
それから「ほう」は加賀殿と交流を持つようになり、
やがては加賀殿から習字や算盤を習うことになるのだが・・・
この時間が何とも穏やかで、どこかぼんやりとした陰を落としている。
大罪人で「鬼」とも称されている加賀殿と言葉を交わすうち
彼がどんな人物で、何故妻子を殺害してしまうという凶行に
走ったのかがじわりじわりと伝わってくる-----。
きっと加賀殿は「ほう」の純粋さに救われたに違いない。
そして「ほう」も加賀殿に救われた----
この場面が後になり、涙となって喚起されてきます・・本当に。
そして「ほう」は最後、加賀殿から新しい名前を与えられる
「ほう」は"宝"の「ほう」------
この一言、否一文字に加賀殿の気持ちと、「ほう」という少女が
全て表されているのだと思います。
今まで重くのしかかってきた事件や背景を全て柔らかく包み込み、
悲劇な物語に爽やかな優しい風を送り込んでくれるラストでした。
感動、です。
宮部氏、有難う御座いました!
Posted at 21:36 | 宮部みゆき | COM(0) | TB(0) |
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