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2010.06.11

嗤う伊右衛門

京極夏彦氏代表作の一つ

嗤う伊右衛門 (中公文庫)嗤う伊右衛門 (中公文庫)
(2004/06)
京極 夏彦

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四谷怪談「お岩」を基に京極夏彦氏が放つ、哀しくも美しい純愛小説『嗤う伊右衛門』

四谷怪談については「なんとなしに」知っていましたが、この作品が
四谷怪談をモチーフに書かれている事に気づかなかった人間です・・・。
「女性で"岩"なんて珍しい名前だなぁ」と、その時代に生きていたわけではないのにそんな考えを持ちながら読み進めていた次第です、はい(爆)。

それにしても・・・
京極先生、素晴らしい!!
只でさえ好きで尊敬していた作家さんであったのに、この作品を読んでさらに思慕(?)が募りました!!!
美しく旋律する日本語と描写、これは京極先生でなければそう描ききれるものではないでしょう。
『嗤う伊右衛門』を一言で表すなら、やはり「美しい」でしょう。
「哀しい」「切ない」も挙がりますが・・・やはり「美しい」。
それは色々な場面や方向からも言える事です。
騒音と排気ガス、脂の臭いが充満する都会から突如--静謐な森奥の湖に迷い込んだ感覚---
静かで、美しく・・・しかし、薄い闇が広がっている小説・・・そんな印象ですね。
寡黙な伊右衛門と、凛とした強さを持つお岩。
この二人の愛の形が・・何とも言えず切ない。これは是非とも読んで欲しい愛の形です。隠れた名作、心に響く愛小説と言えます。登場する人物像がひとつひとつズシンときます。この作品には小股潜りの又市初登場でもあるようですのでそちらも必見ではないでしょうか。






以下はネタバレ。






とても感動致しました。京極氏の描写は凄いな、と思うのと綺麗だなと思います。
冒頭伊右衛門が登場する「蚊帳の夜」からもう、目の前に情景が浮かんでくるかの如く です。
そしてもっと凄いのが人間描写。
直接的な表現は少なく、周囲の情景を巧く取り込みながらすぅっと滲み出るように「人物」がどういう思想の持ち主なのか伝わってくる---これは相当な文才ではないかと・・勝手に思っています(苦笑)

伊右衛門とお岩・・どちらも不器用でありながら誰よりも相手を想っていましたね。
所々でそれが伝わってきてとても切ない。
婚礼を挙げるその日まで一度も顔を合わす事無く夫婦となった二人---しかし二人は諍い絶える事なく、声を荒げて言い争い、距離を置きながらも---惹かれあっていった---。
ある陰謀で別れてしまった伊右衛門とお岩だが、離れてからもお互い想いあっているのですから・・見ている側にとっては心苦しいものがありますね。
でもお岩が独白しているように、このまま二人一緒に居ても諍い絶えない日々が待っているだけであろう--
その部分は納得してしまう。
でも、絶対に二人は一緒に居るべきだった!!死ぬまで、死んでも一緒に居るべきだったのに・・・!!
「いいんだ!!お岩、君はそのままでいいから伊右衛門の傍に居てくれ」
と何度叫んだことか・・・。

最期は"壮絶とも言える静かな死"でした・・・哀しく美しい愛の物語。
伊右衛門は最期どんな言葉を発し、お岩もまた死ぬ前どんな言葉を発したのだろう---と思いを馳せます。
しかし、二人とも相手の事を想った言葉を遺したのだろう、それは確信できます。
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Posted at 20:45 | 京極夏彦 | COM(0) | TB(0) |
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