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2012.07.29

月の扉

石持 浅海氏長編『月の扉』読了ー。

月の扉 (光文社文庫)月の扉 (光文社文庫)
(2006/04/12)
石持 浅海

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那覇空港航空機ハイジャック事件発生。
犯人は3人で乳児3人を人質にとり、要求を突き付けた。
その要求は「那覇警察署に留置されている石嶺を空港に連れて来る事。」
彼ら犯人3人は昔、不登校少年・少女の為キャンプを開催している主催者石嶺の生徒たちだった。石嶺を「師匠」として慕う彼らは今回の犯行を決意、実行した。
凶器の持ち込み、人質の確保-----ハイジャックは順調に進んでいたかに思えたが、事態は一変。
何とハイジャック中の旅客機トイレ内で女性の死体が発見されたのだ。
混乱しながらもハイジャックを中止するわけにはいかない-----
そこで偶然居合わせたカップルの片割れ、「座間味」というTシャツを着た「座間味くん」に何故この女性は死んでいるのか推理しろ、といい渡す。

自分好みだったのは、「犯行中の予期せぬ犯行」以前も似たような作品があったので、それと同様ハラハラドキドキものでしたねー。
何しろハイジャック犯が全く予期せぬ事態-----トイレで死体が発見された。
しかも死体のあったトイレは犯行グループや他の乗客らから入口が目の前であった。これは事故なのか?ひょっとして自殺なのか・・・?それとも----他殺なのか。他殺だとしたら犯人はどこから入り、どうやって消えたのか?
そして、ハイジャックはどういう結末を迎えるのか?

様々な謎が絡み合いながらも物語は進んでいき、死体の謎も座間味くんたる存在も犯行グループと推理を繰り広げていて緊張感がありながらもスピーディに進んでいく。

しかし・・・自分としてはハイジャックの結末が納得できない。
動機もだが・・・二重の犯行を同時進行で行い、その謎が現実的なのに、犯行の動機が非現実的・・・と、いうか一般論から外れているので「はぁ?」となってしまった。
まぁ個人が何を信じていようが良いのだが、それによって巻き込まれたり・・ましてや今回はテロという目に遭っているというのは本当に「ふざけるな」という一言に尽きる。
信じるのは個人の自由だが、それに対して他人を巻き込むなっての!

半ば探偵役とされてしまった座間味クンはどういうキャラクターかで、この作品の印象は変わるかもしれませんな。人質なのに結構出てくるなー・・と思ったら「座間味シリーズ」となっているらしい。どうりで・・












以下はネタバレ。














最大の謎、飛行機テロ最中に飛行機内で起こった密室殺人事件。
うーん、これは本当にビックリであり、一番驚いたのはテロ犯人達だろう。
石嶺の為に今日この日、飛行機ジャックを行った三人は、綿密な計画を立てた後三人の乳児を人質にとった。
正確には飛行機内にいる人達全員であるが、三人はそれぞれ三人の乳児を抱えこみテグスなどで繋ぎ、凶器を突き付けた。
瞬時に緊迫する機内の中で殺気立つ乳児の両親たち。
そしてその中の一人の母親がトイレに入った後、中で死んでいた------
最初は自殺とも考えられたが、生前あれだけ憎しみを抱いていた彼女が自殺するとは考えにくい・・・しかし彼女がトイレに入った後、誰もトイレのドアにすら近づいていないという事はハイジャック犯の一人が確認済みである。


その犯人とトリックが解るまでテロは続けなければならない・・・が、犯人達はテロで忙しいため偶々カップルで飛行機に乗っていた「座間味」Tシャツを着ていた座間味君。勿論本名ではない(苦笑)
その彼に「犯人を推理しろ」と無茶振りする犯人。
しかもその後何だかんだで殺人推理話に没頭している犯人&座間味くん。
なんだそりゃ、である。
しかも犯人達が抱えているのは乳児であり、他にも乗客や客室乗務員がいるというのに完全無視である。
物語を強引に進め過ぎな感じがするし、緊迫感が段々ズレたりなくなって来たりしている。
二重ミステリーは面白いのだが、この作品の場合は別々にした方が良かったのではないか・・・と思った。二重ミステリーでも組み合わせ方はかなり不自然だし、不必要である。
この事件が上手く絡み合うとより一層面白いかと思ったのですがね・・・う~ん、である。


何ともまぁ・・・やっぱり彼女は殺されていたわけだけども、テロを利用して殺人を行うとは中々のタマであるなぁ。しかもかなり痛い殺し方・・。

何よりテロの動機が受け入れられなかったですね。
まぁこれはこれでアリ、という動機付けの流れにしたかったかもしれませんが、突如終盤でSFっぽさが露出してきて、しかも突然すぎる。
座間味君もあまり良くないキャラクター・・と、いうか特に特徴はなく、少し推理する頭をもっているだけな感じでした。人間性にも優れているものでもないし。
自分はシリーズとして読まないかも、ですね。

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Posted at 21:53 | 石持浅海 | COM(0) | TB(0) |
2012.07.07

ガーディアン

石持浅海氏のノンシリーズ『ガーディアン』読了ー。

ガーディアン (光文社文庫)ガーディアン (光文社文庫)
(2010/05/11)
石持 浅海

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幼時に父を亡くした勅使河原冴は、ずっと不思議な力に護られていた。
この作品は以前同著者で読んだ『温かな手』の様に
現実社会に居る非現実的な存在を基軸としたミステリー。
勅使河原冴は幼い頃父を亡くしてから不思議な"存在"に護られてきた。
それは父の死と引き換えに出てきたので、冴はその"存在"を
父の生まれ変わりの"ガーディアン"と呼んできた。
"ガーディアン"は冴の意思とは関係なく、彼女の身に危険が迫ると
突発的に発動する。
例えば彼女に自転車が突っ込んできたら自転車を跳ね飛ばし、
彼女の上から石が落ちてきたら、その石を跳ね除けて石を粉砕する。
彼女に危険を及ぼすものに対して過剰までの攻撃性。
では、もし彼女に殺意を持つ人間が現れたとしたら------?
最初の章では勅使河原冴が会社のグループプレゼンテーションで
プレゼン資料作成中に起こる"事件"。
色々な部署から男女メンバーが組まされて編成されるチームで
和気藹々とプレゼン日まで準備を進めてきた冴たち。
しかしその直前にメンバーの一人がメンバー皆で帰りの駅
階段を下りている時、冴の"ガーディアン"が発動。
メンバーが一人転落し、死亡した。
"ガーディアン"は冴に対して悪意を出した相手にしかその力を
発動することはない-----よって冴はそのメンバーが
自分に対して悪意を持った、という事を知る。しかし、理由はわからない。
"ガーディアン"は過剰な防衛反応をするが、今まで相手を
死なせてしまった事は無い。
それは所謂冴に対し「殺意」を持ったという事にならないだろうか?
この作品ではミステリーで謎となる"犯人"は非現実的な
"ガーディアン"である故、謎とされるのは何故"ガーディアン"は発動したのか?
と、いう点になってくる。
ミステリーとしては冴に対して誰が、どのような悪意を抱いているのかを解き明かしていく。と、共に"ガーディアン"が相手を殺してしまわないように、過激になりすぎないように注意しなければならない。

次の章では別人物の、強盗に巻き込まれる事件を描く。
全体的にはミステリー度は低く、"ガーディアン"という存在をどこまで「使う」かを焦点になっている・・・・と思う(おい)。
















以下はネタバレ。













次の円の章では冴の娘が主人公となる。語り手は別人物だが-----
冴の"ガーディアン"はそのまま彼女の娘、円に移ったらしい。
よって円にも危機が迫った時、「人外」の力が働く身の上となった。
考えてみると・・・自分を守ってくれるのは有難いし、安心できるのだが
やりすぎると有難迷惑だなー・・・。
過剰な防衛本能(?)のせいで自分の大切な人まで傷つけてしまう"ガーディアン"は
正に諸刃の剣、懐の爆弾みたいなもので・・。

"ガーディアン"という人外的力に気づいてしまった強盗によって
何の関係も無いおじいさんが"ガーディアン"で殺されてしまうのは悲劇。
円も自分のせいではないとはいえ、かなり傷ついていたと思う。
母親である冴よりも冷静さを持っている円だが、今後彼女はどのような女性になっていくのか・・・一抹の不安は感じた。

印象に残ったのは、彼女の"ガーディアン"、そして彼女自身を崇拝し始めた強盗犯の一人が最期仲間を殺して彼女についていくと決めた所・・・かな。
彼が"ガーディアン"に殺された時「甘えさせて欲しかった」っていうのがね・・・
直前まで尊敬していた仲間を見放したのはまだいいとしても
何だ、甘えさせてほしかったってのは?気持ちわりーよ!
結局自分自身の欲望と保身だけの為に生きてた野郎なんだな、としみじみ感じましたね。







Posted at 21:43 | 石持浅海 | COM(0) | TB(0) |
2012.02.05

温かな手

石持 浅海氏の『温かな手』読了ー。

温かな手 (創元推理文庫)温かな手 (創元推理文庫)
(2010/05/11)
石持 浅海

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最初の語り手は大学の研究室に勤める畑寛子。
彼女の周りで起こる事件を同居人・ギンちゃんが解き明かしていく
という連作短編集。
と、言ってもギンちゃんは「人間ではないもの」で「人間ではないもの」故に
同居をしているという一風変わった設定である。
もう一人の視点がああり、それはサラリーマンの北西匠。
同じく同居人・ムーちゃんも名探偵兼「人間ではないもの」。
ギンちゃん・ムーちゃん共に同じ「人間ではないもの」設定で
見た目は人間そのもの、手のひらから「綺麗な心を持った人の生命エネルギーを吸い取る」 生態。
西澤保彦氏ばりに無理やりな設定・・・でも西澤氏とはちょっと違った点もあるのだが、それは後述する。
ミステリーに無理やりな設定を入れ込む場合、かなりしっかりとした基軸がないと興ざめしてしまうこと請け合いである。
だが今回はその"無理やりな設定"があまりミステリー部分に触れていないため、そういった感想はなかった。
あくまで生態は生態として、事件は事件として区切られている為ミステリーとしての流れは「普通」である。
始めは研究室に勤める畑寛子で殺人事件が起こり
畑寛子の綺麗なエネルギーが欲しいギンちゃんが仕方なく事件を解いていく、という流れになっている。
一方サラリーマンの北西匠とムーちゃんの方もムーちゃんの見事な推理力から事件のからくりを解き明かしていく。



















以下はネタバレ。




















ミステリー・事件ともにちょっとした矛盾点や小さな手がかりから
見事事件を解いていく様は気持ちいい滑らかさを感じ、ミステリーとして楽しめたと思う。
最後の「温かな手」ではギンちゃん・ムーちゃんのちょっとした過去が・・?
前述した通り、ミステリーとしてはトリック・論理もしっかりしており楽しめる作品だった。
でも自分にとっては「無理やりな設定」がどうも合わなくて
最期まで首をひねったまま本を閉じることになってしまった・・。
これも前述した通り、「無理やりな設定」は西澤氏作品で慣れているものの(笑)、この作品の設定は戴けなかった・・・。
なによりも「都合がいい」より「都合よすぎ」設定な点。
人間の生命エネルギーを吸い取る上で、吸い取るのはその人間が過剰に摂取したカロリーであり
吸い取られる際は手のひらからゆっくり吸い上げて感覚としては温泉に浸っているような心地よさ。
余分なエネルギーなので吸い取られる人間自体に負担はなく、お互いメリットばかり也・・・。
メリットがある分デメリットがあって然り。
だがまぁ、今回はデメリットが無いんだって。と言ってしまえばそれまでだが、何だか腑に落ちなかった・・・(その点西澤保彦氏の作品ではシビアな程メリット・デメリットが均衡しているか、デメリットの方が大きかったりする。)
人間ならざる者でありながら、人間の容姿を持つ生命体------
自分としては"人間ならざる者"でありながら、中途半端に人間っぽさを持っており「結局何なんだお前らは」と言いたくなってしまった。
人間とは見た目というより、むしろ「人間らしい心情・行動」を持つことによって「人間らしい」ものであり、容姿はむしろ第一印象や二の次である。"人間ならざる者"と設定したのであれば、もっともっと心情が人間からとても理解しきれない考えを持っている筈である。何だか・・・これも腑に落ちないし・・・やっぱり中途半端に感じてしまう・・・・・。
人間ではない生命体は、本当に理解できない考えと行動を持ってこそ表現できる存在だと思う。勿論そこに奇怪な姿をすればもっと印象は違うだろうが・・・この作品では見た目も言語も人間である以上、そういう表現は必要不可欠ではないだろうか?

でも、それはそれでエイ○アンみたいに獣の叫びみたいな言語を操るとかそういう描き方がいいと思った。

何だかミステリー小説なのにどうでもいい(?)所ばかり気になってしまう感想ばかりだ


Posted at 20:01 | 石持浅海 | COM(0) | TB(0) |
2011.10.22

扉は閉ざされたまま

石持浅海による最初から犯人が分かっている“倒叙モノ”ミステリー。
『扉は閉ざされたまま』読了ー。

扉は閉ざされたまま (ノン・ノベル)扉は閉ざされたまま (ノン・ノベル)
(2005/05)
石持 浅海

商品詳細を見る


大学時代の集まり、同窓会を行う事になり
その機会を利用して後輩の新山 和宏を殺害する事にした伏見 亮輔。
彼が新山を殺害している場面から物語は始まる。

伏見の同級生であり、同窓会仲間である安東章吾の祖父が残した成城のペンションに集まる事になった一同。

語り手と同時に殺害犯である、冷静沈着なリーダー格・伏見 亮輔。
一級後輩で結婚し、姓が変わった料理担当・大倉 礼子。
二級後輩で、一同中で丁稚係りである石丸 孝平。
場所を提供し、同窓会の発起人・安東 章吾。
一級後輩で冷静で最年長の上田 五月。
一級後輩でウィスキー愛好家、被害者でもある新山 和宏。
頭脳明晰で冷静な大倉礼子の妹・碓氷 優佳。

語り手でなければ・倒叙モノでなければ伏見 亮輔こそが
探偵になりそうなキャラクターだった。
そして碓氷 優佳がかなりのクセモノ(苦笑)。
彼女は一番年下にも関わらず、この中で一番頭脳明晰な人物で
犯罪を犯した伏見にじわりじわりと食い込んでいく。

読者からすれば殺害の状況も犯人も分っているし
何より語り手こそが犯人だから次第に碓氷優佳から追い詰められていくストーリーはハラハラドキドキものである。殺人犯を追い詰めていくのは良いのだが(爆)、犯人側からするとこんなに厄介な存在はないなぁ・・と思って一緒に焦ってしまう。
これは正に犯人と探偵(?)との頭脳戦であり読み進めれば進めるほど
緊張度が増していく・・・
そういった点では面白い作品と思った。
僅かな証拠から段々事件の核心に迫ってくるのはミステリーならではのドキドキ感。
よく練られた犯罪計画もあり、ミステリーファンとしては楽しめた。















以下はネタバレ。













前述した通り、伏見が考えた犯罪計画は一見淀みがない。
しかし碓氷優佳によって次々と崩れていく様は本当にハラハラものだった。
計画通り新山を眠らせ事故にみせかけて浴槽に沈めた。

ここで大きなポイントとなるのが、タイトルにある通り『扉は閉ざされたまま』である。
そう、この作品中冒頭で伏見が犯行を行った時以外新山の部屋の
扉はずっと"閉ざされたまま"なのだ。

いつ開くのか・・そしていつ死体が発見されるのか・・・?
それは結局最後まで扉は開かれないし、死体も発見されない。

しかし、碓氷優佳はずっと部屋から出てこない新山に対し
彼はもう死んでいるだろうという事まで言い当ててしまうのだ。

この『扉は閉ざされたまま』で推理を繰り広げていく様は
頭脳戦ならではであり、ミステリーであるので非常に面白い要素だ。

伏見は様々な"手"でずっと新山は部屋で眠りこけているだろうと思わせたし
安東の祖父のペンションに選んだのも計画の一つ。
ここのペンションは祖父から受け継いでいるし、現在は安東の兄が使用している場所を借りているに過ぎない。その中にある家具や設備は特別なものばかりで、勿論扉も替えのきかない重厚で貴重な扉。
すぐに部屋の扉が壊されないようにこのペンションを利用したのだ。
うーむ、なるほどなぁ。

いつまでたっても部屋から出てこない新山に対し、いい加減不審を抱き始めた一同は「せめて」との事で窓から新山の部屋を覗いてみる事となった。しかし、新山の死体は窓から見えない浴室の浴槽の中。
勿論見えない事を計算している伏見は覗き込んでも焦ることは無いだろうと思うが、そこはまた碓氷優佳の推理によって小さなミスが発見される。
伏見は新山殺害後、工作の一種として彼の着替えを出す際にバッグの中にあったウィスキー瓶を外に出したままにしていたのだ。当時は大したこと無いと思っていたのだが、碓氷優佳は「酒好きの新山が日の当たりそうな場所にウィスキーを置くはずがない」と推測。そして「瓶を置いたのは他の人物」と進め、ついには殺害されているとまで見抜いていくのだ。
いやー、その推理の組み立て方が強引さが無く、理に適ったものばかりなので「なるほどぉ」と膝を打つばかりであった。頭が良いなぁ・・犯人伏見も頭のよい人物となっているが碓氷優佳が上だったかな。
否、伏見が犯人でなかったらほぼ同等かも(苦笑)

と、まぁミステリーとしてとても楽しめた作品ではあるが・・・動機が弱い。
これは他の方々も言われているようだが・・・確かにちょっとなぁ・・
臓器提供をさせない為とは言え、殺害する事はなかったと思う。
説得に説得を重ねるか、脅せばいい(えぇ)
もっと他の道が無かったものかと思う・・・。

そして、あと自分内で納得できないのは伏見と碓氷の関係だ。
最期は「なんだそりゃ!?」という結末になりそうで、納得できない。
伏見は碓氷優佳の奴隷となるのか!?
碓氷優佳は殺人を隠匿するのか!?

どっちにしろお似合いのカップルだよ、全く・・。
なんでこんなエピソードを挿入したのか分らないが
ハッキリ言って不愉快だ!!
折角面白い推理対決をしたのに、最期で壊された気分・・・しかも意味があると思えないエピソードだし新山の親族に対して何とも思わないのか・・・と、いうか新山に対しても。

そこに何か"歪み"のある人間像でも練りこんだつもりなのだろうか・・・?
みっともないよ、二人とも・・・。
それ以外は良かったのになぁ。残念。


Posted at 19:47 | 石持浅海 | COM(0) | TB(0) |
2011.09.19

アイルランドの薔薇

石持浅海氏初作品『アイルランドの薔薇
アイルランドの薔薇 (光文社文庫)アイルランドの薔薇 (光文社文庫)
(2004/09/10)
石持 浅海

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』読了。


南北アイルランドの統一を目指している武装勢力NCFの副議長ダグラス・マクマホンが湖畔の宿屋で殺害される。
被害者から同じNCFの手によるものなのか、それとも関係ない第三者によるものなのか・・・?事件の謎はそこから始まっていくのだが・・・
そもそもの始まりはその事件よりも遡る、誤爆事件からだった。
ダグラス・マクマホンは以前同じNCFメンバーを誑かし、爆発事件を起こしていた。その事件に何ら化の関わりがあるのか・・・勿論、ある。(爆)

だが、湖畔で起こった殺人事件で居合わせたメンバーはNCF以外にも偶然湖畔の宿屋に迷い込んだ人物達もいた。
旅行中の女性やら日本人科学者とその友人。
その中に武装勢力NCF幹部も紛れ込み、さらには武装勢力NCFが依頼した暗殺者も紛れ込んでいるという謎が潜んでいる。

犯人・トリック・アリバイ・関係者達の洗い出し

その中で一番厄介なのが関係者の洗い出しだという・・・
警察関係者がやってこれない閉鎖的環境。
武装勢力NCFという組織の関わりから「何だか小難しい」印象を持ったまま読んでいたのだが、中身は至ってミステリーなので安心した。
方や武装勢力NCF、方や一般人、方や暗殺者・・・
しかも暗殺者が紛れ込んでいることは読者(武装勢力NCFもか)が知っており、他の「巻き込まれた人達」は知らないままストーリーが進んでいくのでハラハラする。
時折あの暗殺者視点で事件を見たりする部分もあるのだが、見事に正体は隠されたままなので誰が暗殺者なのかはわからない。わかるのはもう事件も終盤である。
探偵役としたらフジという一見普通の日本人科学者である。
自分としてはあまり・・・という印象のフジでしたね。
まぁ、詳しくはネタバレにて。

















以下はネタバレ。













印象としては「武装勢力NCFを絡ませる必要あったのかな?」というもの(爆)
確かに事件動機につながる誤爆事件や暗殺者を雇う身の上、という辺りでは必要な事だったかもしれないが(まぁ、他にあるかもしれないけど、自分の浅い知恵ではそれくらいしか思いつかん)あまり組織的なものがあっても無くても大きな影響はないように思った。
湖畔の宿屋女将が、かつて誤爆事件を引き起こした男の妻であったとしても、彼女の魅がイマイチ解らなかったので何故皆がみんな彼女を庇い立てするのか・・・感情移入が出来なかった。
彼女が何かしら裏で糸を引いていたら、それはそれで面白かったのに(歪んだ見方)

ダグラス・マクマホンが殺された後、今度は宿屋の従業員である青年が死んでしまうのだが、これは何と別の犯人----暗殺者----の仕業。
流石プロなだけあって「事故にみせかける」術は慣れたもの。
青年が誤って足を踏み外し、転落したようにしか見えない。しかも、現場には宿屋に泊った皆が見ていた。
一つの舞台に二つの殺人、そして二人の殺人者・・・
ミステリーでは「ちょっとひねった」二人犯人説であるが、今回はプロの暗殺者である、という点が特異なのかもしれない。尤も、誰が暗殺者なのかは途中でわかってしまったのが残念かな。

しかも、その暗殺者がフジに対して好意的なのも・・・ちょっとなぁ・・・
自分があまりフジに対して好印象じゃなかったからかもしれんが(苦笑)、プロの暗殺者があの程度の男(失礼)に惹かれて心を乱すなど・・・プロとしてどうかと思う。
まだ日が浅いのならともかく・・・そうでもなさそうだし。
結構興ざめしてしまった部分ですな。

ミステリーとしては二転三転するように、最有力容疑者が変わったり逃亡があったりして最後まで油断できない構造になっていたと思う。
でもフジの友人と泊り客である女性との恋愛話・・・あれは要るのだろうか?
まぁ多少のハプニングはあるとしても、いきなりの初対面でいきなり進展し過ぎじゃないのか!?しかもその話に裏も無いし・・・う~ん、ここもあまり必要性を感じない部分でしたね。
確かに小説として、事件以外の小話を挟んでも良いし良いアクセントにもあると思うのだが必要以上に前に出し過ぎるし、数も多かった気がする・・バランスの問題だろうか・・。



Posted at 19:32 | 石持浅海 | COM(0) | TB(0) |
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