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2012.09.16

片眼の猿

道尾秀介氏『片眼の猿』読了ー。

片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫)片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫)
(2009/06/27)
道尾 秀介

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探偵事務所で働く三梨幸一郎は異様な耳を持っていた。
それによって盗聴の技術があり、その腕を買われている。
ある日谷口楽器企業から、ライバル会社が自社のデザインを盗用している可能性
があるので調べて欲しい、という依頼があり三梨は谷口楽器へ
中途採用社員として入り込み、近くにあるライバル会社・黒井楽器の観察を始め
る。
谷口楽器の屋上から黒井楽器会社の盗聴をしていた三梨であったが、数日続けて
も中々効果は上がらなかった。
しかし、ある日いつものように屋上で盗聴していた三梨は黒井楽器で
起こる殺人事件を"聴いて"しまったのだった------
産業スパイから殺人事件へのミステリー。
この小説の特色としては、目立つ登場人物達が皆持っている身体的特徴---
過去に悪名名高い探偵事務所四菱エージェンシーで働いていた冬絵
三梨と同じアパートに住む住人達。
各々個性があって物語を読みやすくしているように感じた。
最初は産業スパイのハードボイルドかとも思ったが、途中で殺人事件が起こり
偶々それを"聴いて"しまった三梨は犯人が女性であると考えるが、
目撃証人が無かった事件なので犯人は男として捜査を続ける警察。
盗聴していただけに警察に話せない三梨であったが、自分で調べてみるうち
冬絵が犯人ではないかと疑い始める。
デザイン盗用疑惑、殺人事件の謎、そして三梨の過去に深く傷を残した秋絵の存
在・・・色々な謎が織り込められ、最後は全ての謎が解き明かされる。
一種どんでん返しともいえる真相があるので、自分はそこに一番驚いた。
探偵ハードボイルドモノと言えるが、どこか違う雰囲気があるので
全く違うジャンルとも言える。道尾秀介調とも言えるか・・・。
驚く要素が複数含まれているのでどんでん返しが好きな人は
より一層面白いかもしれません。たぶん
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Posted at 20:08 | 道尾秀介 | COM(0) | TB(0) |
2012.06.25

向日葵の咲かない夏

真備シリーズに続いて手に取った道尾秀介氏作品『向日葵の咲かない夏』読了ー
向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)
(2008/07/29)
道尾 秀介

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夏休みになるという事でS君のプリントを届けるように言われたミチオ。
S君宅に向かってみると、そこには天井からぶら下がったS君の姿があった---
慌てて学校に戻り、担任の岩村先生らに言ったのだがいざ先生や警察が
到着するとS君の姿が消えていた。
調べてみると床には微かに死体があった痕跡が残っており
誰かがS君の死体を移動させた、という事で捜査が始まった。
一方死体第一発見者となったミチオはいつも通り
ゴミだらけの家に帰ることとなった。
そしてミチオはそこで「意外な」姿になったS君と出会う---
これは・・・色々なサイトでもあるように
評価の分かれる作品じゃないかと思いますねー・・
異様で生温い空気が漂い続けている雰囲気というか
人によってハマるかハマらないかで評価が大きく変わりそう・・
ちなみに自分はハマらなかったので低評価になっています、あしからず・・
独特の雰囲気を出す作品は良いけれど、明らかにミスリード狙ってくる
作品はどうも・・・ハマらないですね。
読者のミスリードを誘うのは驚くので好きな方なのですが
ここまで隠されるとどうもなぁ・・・
確かに「ん?何かおかしいな」と思って自分がそのまま
見過ごしてしまう、という事はよくあるけれど
「明らかにこれは強引な複線だろう」というモノが多いと
狙いすぎであまり好きじゃないですね。
しかもあの結末は・・・なんとも言い難いです









以下はネタバレ。















ネタバレ重要度が高い作品なのでより注意
思うのが・・・まぁ、「この中にまともな人間少ないな」という事かな。
第一主人公・語り手であるミチオが小学生ながらも
ちっとも小学生らしくない点が一番不可解。
妹ミカが実はトカゲ、S君が実は蜘蛛・・・
母親の異常さ、連続動物殺害事件の真相よりも
小学生が全ての事件の謎を解いてしまう事がおかしいとか思う。
第一警察は何を調べているんだって感じですねー・・
今野敏氏の警察小説を読む限り、警察捜査能力はもっと優秀だと思う。
色々精神的に病んでしまった様な雰囲気の小説だけれど、
それはそれで面白いしこういった手法もありだと思うけれど
「主人公」達以外の・・・まぁ第三者達(まとも・・?)は
あくまで現実的に動いてくれないとどこからどこまでが"境界"なのか
判らなくなってしまうし、その"境界"こそが独特の雰囲気との
差を出してくれるものだと・・・思う、うん・・自分的に(爆)
最初はS君への疑惑から周囲への疑惑、そして結末として
主人公ミチオが一番の隠匿者だと判る。
特にS君への情報は
「これだけの"事実"を隠されていたら読者はわからんわ!」と
突っ込んでしまう。
もうちょっとフェアな情報を出して欲しかったなぁ・・
勿論自分が鈍いという事もあるけれど、隠し方に悪意を感じる・・!
Posted at 21:29 | 道尾秀介 | COM(0) | TB(0) |
2012.05.27

骸の爪

道尾秀介氏『骸の爪』真備シリーズ第二弾、になるでしょうか・・。
またも心霊現象に対して様々な謎を解き明かしていくミステリー・・ホラー?


骸の爪 (幻冬舎文庫)骸の爪 (幻冬舎文庫)
(2009/09)
道尾 秀介

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霊現象研究家・真備を探偵役、語り手兼ワトソン役は道尾秀介というシリーズである。
従兄弟の結婚式で滋賀県にやってきた道尾。
そこで宿のトラブルが起こり、急遽従兄弟の知り合いであるという仏像を彫る仏所「瑞祥房」に泊まる事となった。
「瑞祥房」には主人である松月をはじめ弟子の岡島聡一、鳥居伸太、珍しく(?)若い女性仏彫り摩耶や庭職人唐間木らが師走八日に行われる釈迦成道会に向けて忙しく手を動かしていた。
職人達がいる仕事場や敷地内には"登り窯"などを珍しそうに見学する道尾はそこで鬼気迫る程の迫力を持つ千手観音の像と出会う。
数ある仏像の中でも特に迫力と"魂"を感じるほどの先手観音である。
聞けばその先手観音はかつて「天才」とも言える若き仏師、韮澤隆三の作品だという。
しかし、彼はこの先手観音を制作した直後忽然と姿を消してしまったらしい------
何となく韮澤の名前を出すと不穏な空気を感じた。
そして道尾は今回もまた「奇妙な現象」にみまわれる事となった。
その中で「マリ」と何度も繰り返す声を聞いた道尾は次の日、何気なく色々案内をしてくれた唐間木老人に向かってマリとは誰なのか云々をきいてみた所、突如周囲の空気が一変緊迫し、唐間木老人が「あんた一体何者か?」と怒り出し道尾は一気に追い出されてしまった。

戸惑っていたが、その後以前の様に真備の元へ「瑞祥房」で起こったことを説明した所、真備は再びその「瑞祥房」へ行こう!と言いだし、摩耶の力添えで今度は真備、助手の北見凛、道尾三人で乗り出した。

・・・あとはもう、いわずもがな殺人事件が起こってしまうというストーリー。
心霊現象の謎を解き明かしたり、(やはり)過去に起こった韮澤隆三失踪事件の真相にも触れてくることとなる。

全体としては・・・・うむむ・・前回の『背の眼』よりもミステリー色が強い、という印象。やはりこのシリーズはホラーよりもミステリーのジャンルになるのかなと思った。
「瑞祥房」という"閉ざされた空間"、過去に「失踪事件」ワケありな事件関係者達。
今回はアリバイトリックや時系列で謎を追っていく形なので、心霊的現象は無い。
仏彫場所について全く知識が無いので現場のイメージが曖昧になってしまうのが残念だった。建物の大きさや作業場にはどんなものが置いてあって、仏像はどのように置かれているのか・窯はどんな形なのかイマイチ・・・なので想像力があまり働く事のできない事件。(自分の無知ゆえだが)















以下はネタバレ。












やっぱり関係があったねぇ、失踪事件。
若くして仏彫の天才と言われ、突如として失踪した韮澤隆三。そして彼と恋仲であったマリ。
思ったよりも事件の背景が複雑で・・・と、いうか色々な人が少しずつ「勘違い」をしていた故に複雑となってしまった事件でした。
しかし、よりによって明るく無害そうである摩耶が事件の犯人だったとは驚いた。これは驚いた。
いつも事件の真相にたどり着けない自分であるが、今回は意外な犯人だったねぇ。
途中まで配達の兄ちゃんが怪しいと思っていたのだけど・・・摩耶かぁ。
しかも彼女が殺人事件を起こすきっかけとなったのが唐間木ということで、事件の真相を知った後彼は自殺をしてしまう-------悲劇に悲劇が重なった事件。

今回トリックとなった「像に血が流れる血」のはやや無理があるのではないかと思ったけれど・・・まぁそれを差し引いても他「ちょっと無理あるかな」という部分があって消化不良。
『背の眼』の方が面白かったです、正直(苦笑)まぁ、まだ二つしか読んでいないのだから五分五分なのだけども。




Posted at 22:02 | 道尾秀介 | COM(0) | TB(0) |
2012.05.13

背の眼

道尾秀介初になるかな・・・『背の眼』読了ー。

背の眼〈上〉 (幻冬舎文庫)背の眼〈上〉 (幻冬舎文庫)
(2007/10)
道尾 秀介

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背の眼〈下〉 (幻冬舎文庫)背の眼〈下〉 (幻冬舎文庫)
(2007/10)
道尾 秀介

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ホラー小説という事らしいのですが、ミステリーとも言えるらしい・・・ので(おい)手に取ってみたした。
ざっくりあらすじ抜粋ー。
福島県白峠村を訪れた作家の道尾秀介。村ではここ数年、児童の神隠し事件が起こっているという。河原を散策していると、妙な声が聞こえてきた。そこは、神隠し事件で最初にいなくなった少年の切断された頭部だけが流れ着いた場所だった。この声は少年の霊の声なのか、気味の悪くなった道尾は、予定を切り上げて東京へ帰り、霊現象を探求する友人・真備庄介に相談を持ちかける。

同じ頃真備は、白峠村とその隣町・愛染町で相次いだ自殺者の友人・上司たちから似たような相談を受けていた。死ぬ直前に撮っていた写真に写る彼らの背中に奇妙な眼が写り込んでいる、自殺する理由は何もなかった、その眼が自殺を引き起こしたのではないかというものだった。

なぜ眼だけが写ったのか、道尾が聞いたゴビラサという言葉の意味とは……。
(by Wikipedia)


有栖川氏作品有栖川シリーズと同様、語り手・視点と著者名が同一人物らしい・・・
しかも設定が小説家、という事。
道尾の友人という事で真備霊現象探求所を構える真備庄介と奇妙な事件を解き明かしていく、という「シリーズもの」らしい。真備はとある"事件"から心霊現象を研究しているようだ。
(心霊現象を研究しているなんて・・黒い服の男を連想してしまうな)

小説の取材という事で一人白峠村を訪れた道尾はそこで妙な声と気配を感じ、その相談を学生時代以来の真備に相談することになるが、実はそこで真備自身が抱えていた依頼内容と関連性を感じて白峠村へ行くことになった。

真備・道尾・それと真備霊現象探求所のアルバイトで、幼いころから真備を先生と呼ぶ北見凜三人。

そこで様々な事件や他の事件との関連性を吟味しながら、心霊現象とは一体どういうものか、本当に心霊幻想が起こっているのかを探っていくストーリー。

全体を読み通して感じた事は・・・あまりホラーという印象を受けず、読みやすかったという事。
主人公・語り手の道尾秀介はやや気の弱い無害の市民(小説家)であり、見た目が可愛い北見凛に照れてしまう(爆)
普通のキャラクターであった。
そして「変わり者」と呼ばれている真備は、見た目美男子で日本人離れしている容姿であり唐突な言動から周囲の人たちをしばし困らせているが、まぁあまり非常識なものではない(苦笑)
(唐突さは御手洗潔のようだが・・彼ほどぶっ飛んでいないので。)
やはり探偵のような役割をしている。

北見凜は若い女性で霊能力があり、人が考えていることや過去のことまで分かってしまう能力を持っているのだが、本人はあまり好きではないらしい。
ごく普通の女性像・・・と、いうか男性が描くごく普通の女性キャラクターである。(爆)













以下はネタバレ。













前述した通り、ホラーテイストは薄い印象でしたので「ホラーはちょっと・・・」という人でも読み切れると思いますねー。
どちらかというと心霊現象が加わったミステリーかなぁと・・・。
白峠村とその隣町・愛染町で写真を撮ったら、背中に「眼」が映り込んでいた・・・そしてその「眼」を背負った人物は数日の内に自殺をしている・・・。
このあたりと眼が描写される場面が少しホラーテイストであるが、実際は眼との関連性は無くたまたまの偶然によって自殺が起こっている云々の解説があったり、意外と冷静(?)な流れとなっている。

白峠村で民宿「あきよし荘」を一人で経営している歌川春芳や孫が村で神隠しに遭った糠沢長次、愛染町で自殺する呂坂幹男、その死体を発見した溝之木亮平少年など様々な人物達が登場し、様々な関連を持っている。
そう、昔白峠村は連続して神隠しが起りその神隠しからすべての悲劇が続いていく。

神隠し-----狐のお面------背の眼-----

事件の結末としては・・・人間の狂気がすべての始まりと集結でありこの辺りは百鬼夜行シリーズを連想させた。(まぁ・・あれほど綿密で長くは無いが 苦笑)

歌川春芳の妻が骨腫瘍で亡くなり、歌川の所謂「首狩り」が起こっていたのだ。
実際ここまでの狂気を引き起こすのは"村"という閉鎖的な空間と慣例もあるが、勿論本人の気持ちが大きい。
いかにも犯人である歌川春芳は狂気に取りつかれ、妻を亡くした失望感に囚われていたという心象を大きく表していたが、自分にとってはその犯人の「思い込み」によってだけの理由で、何の罪もない子供たちが殺されてしまった、という悲劇の方を大きく表してほしかった・・・・・。

家族が亡くなるのは確かに悲劇であるが、その「生贄」として殺されていった幼い男の子たちはもっと悲劇である。
人が殺されるだけでも酷い事なのに、それがあの小さな体で起こるというのはやはり残酷な事だと思えてならない・・・大人が殺されるよりも子供が殺される方が惨いものだ・・。

実際、病気で家族を亡くされる人は多くいる---
でも狂気に取りつかれる人はそうそう居ないだろうし、さらには「生贄」として子供を殺す人なんてもっと居ないだろう・・・常識のある人なら、また「家族を亡くす人」を増やすことは避けると思うし・・・。

面白かったのですがねー・・・そういう大事なところが「違う」と感じましたなぁ。

あと、北見凛が真備に惚れているというのも・・・何かなぁ・・ワンパターンでちょっとつまらないと思った(苦笑)。












Posted at 20:11 | 道尾秀介 | COM(0) | TB(0) |
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