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2014.03.15

白き瓶

藤沢周平氏、長編作品『白き瓶』読了ー。
時代モノかと思いきや・・・ちょっと違いましたね。かと言ってミステリーでもなく
歌人、長塚節氏の生涯小説でしたぃ。
てっきりまた時代モノの人情or剣客ものかと思ってたので最初「あれ?」と思っていて
読むの止めようかなーと思ってしまいましたが、結局読み終えてしまいました。

白き瓶―小説長塚節 (文春文庫)白き瓶―小説長塚節 (文春文庫)
(2010/05/07)
藤沢 周平

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歌人長塚節氏は実在の人物なのですが、勿論自分は知りませんでした!(爆)
最初は架空の物語として読んでいたのですが、有名な人物の名前が出てきたので
「あ、これひょっとして実在の人物の話なのか」と気づく始末・・・
きっと歌人として有名な人だったのでしょうがねー・・自分は全く縁がなかったもので
でも、あの人の名前は知っていました!

正岡子規

長塚節氏はどうやらあの正岡子規の弟子であるようなのです。うーん、本当に知らなかった
なので、以下文章は長塚氏の情報は何も知らず、あくまで『白き瓶』を読んだ感想としてみて下さい。

元々身体が弱かった長塚氏は畑仕事を率先して行ったり、自ら身体を鍛えていた。
そしてある日正岡子規の作品に感銘を受け、彼の弟子となった。そして長塚氏には伊藤左千夫という親友が居て、彼も正岡子規の弟子であり歌人であった。そして彼はすぐ他人の作品を批評したり喧嘩をしてしまう人物だが、時折誰も気づけないけれど、的確な鋭い批評を突いてくる人物でもあったのだ。
正岡子規三周忌の時も同じ歌人である三井甲之氏と短歌の議論から不和となっていく-----
その時から長塚氏は左千夫から「自分をとるか、三井をとるか」等と詰問され、うんざりしてしまう。
そんな事もあってか、段々長塚氏と左千夫の距離も開いて行ってしまうのだが、左千夫は自分のそういった性格が長塚を遠ざけているとは思っていない模様。
だが二人は歌人として"アララギ"を創刊するという目的で結びついているし、家族ぐるみの付き合いも細々と続いていく。
歌人達の生涯、という事で小説内にはたくさんの歌が記載されていて、長塚氏がどのような体験をしたかによって様々な彩を変えていく。
正直自分は歌に対してド素人もド素人なので(爆)全くわからない!
長塚氏が歌を出しては周囲の評価や自己からも評価していくのだが、「今回は本当に良かった」とか「今回は良くなかった」と言われていて「あ、そうなんだ。今回は良かったんだ」位の事しか読み取れない・・あああぁぁぁ
歌や俳句など・・本当に分らない人間なので、その歌を詠んだ事に対しての感動が全く感じられないのが悲しい
きっと歌が大好きでちょっとでも造詣のある人なら、この作品の感想が奥深い事になっているだろう。

自分はあくまで「長塚氏の人生」としての目線だけしかなく、興味を惹かれるのはその人間性や周囲の人たちとのかかわり合いである。
その中で注目するのが左千夫と黒田てる子という女性。
左千夫は前述した通り親友だが、黒田てる子という女性は長塚氏にとって妻になる・・・筈だった女性だ。
今まで女性と深い仲になったり、恋仲になった事も無い(らしい?)長塚氏にとって心穏やかになる部分。
お見合いで出会う事になったのだが、長塚氏の体調や家庭環境の理由から黒田家の反対に遭い、破談となる。
そしてまた長塚氏自身も自分が病弱な為彼女を引きずり込むのは酷だろうと離れていくのだ。

しかし黒田てる子は長塚氏の病院に度々訪れたり、手紙をやりとりするなど健気な部分を見せる。
今と違って当時は女性の自由や恋愛は「家族」と密接な繋がりがあるし、一人で男性に会いに行くのも
現在よりずっと難しい"環境"にあっただろう。
でも彼女は長塚氏を一途に思い、そんな彼女を見た長塚氏も彼女に愛の歌を詠んだりした。

"アララギ"の創刊も近づいてきたが、以前より懸念していた長塚氏の病状が次第に悪化していく-----
その経過が何とも・・・
何とか身体を持ちなおそうと色々な病院や医師の元を回り当時として最先端の治療も施すのだが
無情にもその症状は進んでいくばかり。
後半ではもう長塚氏は常に微熱が続き震える身体と衰弱してく身体ばかりで
見えない巨大なものが静かに・・そして確実に覆いかぶさってくる・・・そんな悲しさが描かれていますね。

最期は37歳という若さで亡くなった長塚氏-----
かれは歌のほかに短編小説と『土』という長編小説を遺して逝きました。
読み終えた後は何とも感傷的に切なくなりました。
小説でたくさんの資料を参考に描かれたのですが、やはり彼が最期どんな思いで、どんな意志を持っていたのか感じ取ることはできませんね・・・。歌によって表現されていたのかも判りませんが、自分には読み取れないし(爆)

ただ・・・どうだったのかな。
37歳という若さもあってか------やはり哀しい、哀しい思いだったのかなと感じました。








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Posted at 21:38 | 藤沢周平 | COM(0) | TB(0) |
2014.02.11

よろずや平四郎活人剣

藤沢周平氏『よろずや平四郎活人剣』読了ー!
文庫本で上下巻に分かれているけれど、長編というか連作短編集。

よろずや平四郎活人剣〈上〉 (文春文庫)よろずや平四郎活人剣〈上〉 (文春文庫)
(2003/12)
藤沢 周平

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よろずや平四郎活人剣〈下〉 (文春文庫)よろずや平四郎活人剣〈下〉 (文春文庫)
(2003/12)
藤沢 周平

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神名平四郎という主人公がよろず屋を立ち上げ、様々な揉め事を上手く収めたり孤軍奮闘したりとする作品。
連作短編集だけあり各々レギュラー陣は変わらないし舞台設定なども
変わっていないが、各々の話は基本読みきりなのでとても読みやすい。
有難い事にwiki先生(爆)が登場人物や簡単なあらすじを記述してくれているので
説明はごく簡単にしちゃいます(笑)

よろずや平四郎活人剣概要

平四郎は幕府目付神名監物の腹違いの末弟であり、雲弘流矢部道場では次席に位置する
凄腕の持ち主である。だからこそ危なっかしい職業である揉め事引受人になれるのであるが・・
この物語に膨らみを持たせているのが、水野忠邦や鳥居耀蔵、堀田正篤という歴史上
実在の人物の登場。彼らの政策・時代背景を見事背景に据え、その時代を生き抜いた
町人と商人・武士達の姿を描いている事である。

水野忠邦は天保の改革という思い切った政策を断行。町民達の奢侈禁止を押し進めた。
よって町民達の暮らしにどういった影響を与えたのか、結果どのように動いて行ったのかを
平四郎含め登場人物達の視点から眺めることが出来る。
正直自分は水野忠邦という人物の名前を聞いたことがあっても
実際どのような事をした人か忘れていたし・・鳥居耀蔵、堀田正篤に至っては
名前すら思い出せなかった始末・・・ふぅぅ・・;
藤沢氏のおかげでまた一つ賢くなれた(爆)

全体を通してやはり面白かった!

連作短編集で上下巻は珍しい(?)かもしれないが、最後まで退屈せず
スラスラ読んでしまったし、物足りない位だったなぁ。
最初は閑古鳥が鳴いていた揉め事請負稼業も、段々信用されてきて
仕事が増えていく様は見守っている読者からして(笑)非常に嬉しい。
最後まで気になっていたあの人も・・・丸く収まってホッとしたな。
Posted at 18:31 | 藤沢周平 | COM(0) | TB(0) |
2014.01.19

海鳴り

藤沢周平氏『海鳴り』読了。

海鳴り〈上〉 (文春文庫)海鳴り〈上〉 (文春文庫)
(1987/10)
藤沢 周平

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海鳴り(下): 2海鳴り(下): 2
(2013/02/22)
藤沢 周平

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小野屋主人である新兵衛は寄合の帰り駕籠を待っていた。
その時塙屋彦助に声を掛けられた。彼も商人であるが
店と塙屋彦助の評判は芳しくなく、今も酒でやや出来上がっているようだ。
何とかあしらって歩き出した新兵衛はガラの悪そうな男たちの中で
項垂れて座り込んでいる女性を見つけた。
よく見てみるとその女性は丸子屋おかみ、おこうであった。
おこうから財布を盗もうとしていたその男たちは知り合いが通ったという事で
すぐに引き上げていった。
様子を見るとおこうは悪酔いしたらしく意識がない。
慌てて周囲を見渡しても駕籠も通らない・・仕方なく近くの店に
運び込んだ新兵衛は店のおかみに二階へ上がらせてもらい介抱する事となった。
だがそこは所謂連れ込み宿と呼ばれる類のものでやや慌てた。
だが捨て置きもできず、新兵衛はおこうの意識が戻った時に
ここまでのいきさつを説明、そのまま一人帰って行った。


白髪を初めて見つけたのはいつだったか------
懸命に働いて働いてふと気づけば自分は何を成し得ていたのか------
そんな一抹の寂しさを覚えた中年男性の心境と
商人ならではの生き方を描いた長編時代小説。
読了した感想としては「こんな日常をよく長編ししたものだ」というもの。
確かに新兵衛の元に様々な苦悩や困難が降りかかってくるけれど
"波乱万丈"とまではいかない。
謀略も、大きな事件も著名人も登場せず、かといってこれという死闘もない-------
ごく「一般」を丁寧に描いている。
普通なら退屈として途中で放ってしまいそうな内容を
こうも丁寧で情緒的に描くことで読み手を惹きつける・・
改めて藤沢氏の「力」に感嘆させられた。












以下はネタバレ。














ミステリーではないけれど未読の方はご注意。
新兵衛はあの寄合の日から様々な災難に見舞われる。
おこうを介抱した場面を塙屋彦助に目撃される
息子の夜遊びが悪化していく商売に横やりや障壁をつくられてしまう・・・
最近自分も年を取り肉体的にも精神的にも弱っている・・
そして妻おたきとは数年前から冷めた仲となり、まともに会話もできていない----
そこに追い打ちをかけていくような災難ばかりで新兵衛は常に頭を悩まされていく。
所々に描かれる「老い」の描き方が何とも哀愁漂い・・作者の心境に迫っている感じだ
大きな動きとしては、やはり丸子屋おこうの経緯だろう。
おこうを介抱した場面を塙屋彦助に目撃された事で塙屋はまずおこうへ脅しに向かう。
おこうからこっそり其の事を相談された新兵衛は何とか百両を渡しその場を凌いだが、
その頃から新兵衛とおこうは次第に惹かれあい---忍び逢う仲となっていく。
妻おたきと一緒になったのは間違いだった、そんな思いの中で出会った
理想の女性がおこうであり、おこうも夫由之助に冷血な印象を抱いており
不幸な結婚に見舞われていたようだ。
そんな二人は段々と深い仲になるが、もしこの事が世間にバレれば
商売含め今まで培ってきたものが壊されてしまう・・・
そして遂に最悪な事態-----二人が忍び逢っていることを塙屋に知られてしまうのだ。
再び脅しに来た塙屋は今度はまるごとお金を寄越すのではなく
今後の自分と妻の生活費で養ってほしいと言い出した。
もはや御終いだと悟ったで新兵衛は逆上も重なって
塙屋を締め上げてしまう。気づけば塙屋は倒れ込み反応が無い・・・

無我夢中で逃げた新兵衛だが、後日岡っ引きがやって来て
塙屋を襲った人間を調べていると言った。
詳しく聞くと塙屋は辛うじて生きているのだが意識は無く
早いうちに息を引き取るだろうという・・・・。
遂に殺人にまで手を出してしまったのだと悟る新兵衛。


何だか・・「判っていながらも深みに嵌っていってしまう人間の末路」を
しみじみ見せられた感じですね。
自分としてはおこうとの密会を始めなければ、もしくは途中で止めておけば
最悪の災難となることが無かっただろうに・・・と思う。
駄目な男だ・・と思いつつ、何時・誰もが同じ弱さに引きずられていきそうで
同調もしてしまう。こう考えると人間の弱さは情けない-----というより怖い。
誰もが心の弱っているときに誘惑に勝てるとは限らない、むしろ誘惑に陥りやすいのが
現状だと思う。浅い内に気づけばまだ幸運だが、大抵の人は深みに嵌ってから
気付くので破滅への道しか残されていないものだ。
新兵衛は商売と息子幸助の問題を乗り越えられたのに
肝心のおこうとの不倫が残ってしまい、そこから破滅への道が敷かれてしまった---
だが彼は破滅の中から「すべて捨てていく覚悟」を選択し、
店と家族を捨てておこうと逃避行へ・・・の場面で物語は終わるのだ。
何だか・・・新兵衛とおこうにはまだ一筋の光が見えるのだが
新兵衛の家族の未来を思うと暗雲を感じる。


この後自分の夫が不倫をして殺人事件を起こした後
黙って逃げたと知ったらおたきは・・・う~ん、堪らないだろうな。
共感や同調してしまう部分はあるにしろ、やはり不倫というのがいけなかったね。
最初の脅迫から関係者達にだけでも正直に全て話していればよかったものを
先送りしたり隠してしまうのは・・・やはり卑怯なのだろう。
だが自分がもし同じ境遇になったら「正直」になれるのか、と問われると
自信はない・・・こういう同調が新兵衛に対し憎めない所なのかもなぁ。
誰もが正しく、強くありたいと思うもの・・・しかし弱いのが現実。
"強い人"って眩しいものだ。

Posted at 20:21 | 藤沢周平 | COM(0) | TB(0) |
2013.12.08

漆黒の霧の中で

藤沢氏彫師伊之助捕物覚えシリーズ第二弾『漆黒の霧の中で』読了ー。
第一弾は『消えた女』に続く続編。

漆黒の霧の中で―彫師伊之助捕物覚え― (新潮文庫)漆黒の霧の中で―彫師伊之助捕物覚え― (新潮文庫)
(2012/01/06)
藤沢 周平

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前回の『消えた女』が面白かったので楽しみにしながら読みました。

伊之助は藤蔵という親分の元で彫師をしている。
元腕利きの岡っ引きという事で度々「仕事」を任され、本業の彫師の仕事を度々抜け出してしまう。
烈火の如く怒る親方の顔をすり抜けながら今回も何とか(爆)岡っ引き仕事を引き受けてる。

同じ組屋敷に住んでいた石塚宗平からある水死体男性の身元を調べて欲しいのだと頼まれる。
偶然にも伊之助はその水死体が引き上げられるところに出くわし、若い男性が死んでいる
所を目撃し軽く見聞をしていた伊之助はすぐに思い至った。
左耳の後ろに妙な刺し傷があり水を飲んでいないので殺されてから川に投げ込まれたらしい
その男は、経師屋の職人で七蔵というと調べがついた。
無口で目立たなく、憎まれるも好まれるも思い至らないほど影が薄かった七蔵は
これと言って殺される理由が思い至らない。
身元が判明したと思いきや、彼が金右衛門店の大家から聞いた限りで
その長屋に住む一年前から以前の事がわからないのだと言う。
これでは七蔵という名前さえ怪しく思えてきた石塚は、元岡っ引きの伊之助に
彼の素性を調べて欲しいと頼んできたのだ。
藤蔵親分の形相を思い浮かべながらも、岡っ引き気質が離れない伊之助は
その頼みを引き受ける事にした。

段々と七蔵の身元を調べてくる内、黒い影が忍び寄ってくる事件。
腕利きで柔術にも長けている伊之助でなければ深く踏み入る事さえできなかったであろう
重要な秘密が隠されていた------
今回もまた面白かったですねぃ。
現代の警察小説とは違う、科学捜査も検案もない時代人々への聞き込みと
僅かな人との繋がりで確実に黒幕へと迫っていく様は読み応え十分!

この時代は特に人と人とのつながりが濃かったものだから、目撃証言こそが
事件を調べる強い手がかりだったんですねー。
その名残で・・・・かは解らないが;今の刑事捜査でも聞き込みは大事にしているようですし・・
有力ながらも人間関係が希薄だからその効力も薄れつつあるのでしょう。
















以下はネタバレです。










七蔵という男はやはり後ろ暗い所を持つ男だったようだ。
七蔵は偽名、駿河屋で手代だった七之助という男で駿河屋の金を使い込み追い出されていたのである。
しかしそこで重要な証言を得る。七之助には女房がおりその女房も行方不明となっていると言う。
その調べの矢先同じく七之助を調べていた多三郎の手下・半次が同じ手口で殺される。
彼はたちの悪い脅しもやっているとの話で、そっちの線で殺されてしまった
とも考えられるが、海竜寺の近くで殺されたと言う点からも七之助と同じ線で殺されたことは明白だ。
と、いうのも海竜寺にいる易者に七之助が訪ねてきたという証言も得ていたのである。

そしてまた七之助の女房についても調べがついた。
おさきという評判の美人であった女房は駿河屋の先の旦那ではないかという噂がある。
というのもおさきは駿河屋で女中をしており、そのころから先の旦那と関係があったともいう。
昔七之助とおさきが住んでいたという場所を探し当て、そこで聞き込みをしてみると
ある日おさきが丸に八という半纏を来た男たちを手伝わせて引っ越しの準備をしていた。
しかしその後仕事から帰ってきた七之助は大慌てで女房の行方を捜していたのだと言う-----
つまりおさきの引っ越しは夫のあずかり知らぬ所で行われていた。
近所の女房達は大笑いしていたが、それを聞いた伊之助は丸に八という半纏という
新たな線に嫌な影が追加されていくのを感じる。

調べれば調べるほど海竜寺が臭いと感じていた伊之助は手がかりを得るため
夜、寺に忍び込む事にした。
確かにこの寺には数人の男たちと密談のような話声が聞こえてくる-----
こっそり抜け出そうとした伊之助に素早い影が襲いかかった。
からがら逃げた伊之助だが、その時寺にたどり着いた駕籠から駿河屋の旦那が出てくるのを目撃
さらにその傍に丸に八の半纏男!
全てが繋がっていると判明した伊之助はついに真相へ肉薄したと感じる。

駿河屋は丸子屋金を借りており、駿河屋は寺の坊主達を結託し
大奥の女中さえ巻き込んで借金を隠していたのだ。
七之助は駿河屋を脅していた男で、妻おさきの行方を探り出してしまう。
それ故易者の穂積の針で殺されてしまったのだ。

最後穂積の襲撃されながらも匠の柔術で倒した伊之助・・・ひとまず一件落着かなと。
一人の男の死体から浮かび上がった大店と寺の癒着、お金、痴情、そして今回は大奥。
大奥は僅かな繋がりであったけれど、この大奥で時代がいつなのか判りますね・・・
しかし、どの時代も寺と欲望-----変わらないもんだ。
悲しいけれど、これも世の常。





Posted at 20:22 | 藤沢周平 | COM(0) | TB(0) |
2013.12.07

夜の橋

藤沢周平氏『夜の橋』読了ー

短編集作品で楽しめたが・・・何分話が混ざったり結末を忘れてしまったりで

全ての話の内容が書けない始末・・・すみません。覚えている限り記述していきます。


夜の橋 (文春文庫)夜の橋 (文春文庫)
(2011/07/08)
藤沢 周平

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鬼気

雨宮道場が勝った。
徳丸、鳶田、平野という高弟が揃い彼らの腕は周囲も認めている。その彼らがある日酒を飲んでいた時
徳丸がふと細谷久太夫という人物の話を挙げた。彼らが話し込んでいると近くの席で飲んでいた
物頭の保科弥五兵衛が加わってきた。保科は細谷久太夫について少し知っている話があるとして
三人にかいつまんで話した。細谷久太夫はあまり公でもおおっぴらでもないが
剣の腕が三人をも凌ぐ程ではないか、というのだ。
三人は半信半疑で聞いていたのだが それでは、という事である作戦を思いつく。

 

夜の橋
民次は自分の博奕癖のせいで妻おきくに逃げられていた。
自宅である裏店に戻ると、隣の女房がそのおきくが来ていたと言う。
訝しみながらも民次はおきくに一度会ってみることにした。

 

裏切り
幸吉は研師でその親方の娘・おまちは嫁ぎ先で体を壊し実家に戻ってきていた。
そんな姿を見る幸吉は自分の妻おつやにもあまり労働させ過ぎないようにと考えるようになった。
ある日家に幸吉が戻ると妻の姿が無い。いつまで経っても戻ってこないおつやが心配になり
幸吉は探しに出るのだが-----

 

一夢の敗北
吉田次左衛門一夢は米沢藩で一刀流の達人として知られている。一夢が歳老いたころ細井平洲を招くという話があった。
詳細は判らないが、藩にとって良くない人物だという事は感じた一夢は
妨害を試みることに。

 

冬の足音

叔母のおよしがやって来た。またお市に縁談を持ってきたのだ。
そろそろ嫁ぐ年齢になってきたというのに中々乗り気にならないお市に
三度目の縁談を持ってきたのだ。相手も特に妙な噂もなくとても良い縁談のようだ。
しかしお市はやはり気が乗らない。と、いうのもお市には忘れられない男がいるのだ。
以前家で働いていた職人時次郎という男で、彼ははある日突然辞め音沙汰無しになってしまった。

 

梅薫る
娘の志津がやってきた。またかと奥津兵左衛門は思った。
妻の波江がいうには身籠っているらしいのだがこう度々実家に戻ってきては先方の家に申し訳なく思う。
娘は保科節蔵に嫁いだ身である。特に落ち度も無く、左衛門が謝っても大らかに受け止めてくれている。
実はもともと志津は江口欽之助の所に嫁に行くはずだった。
しかしとある事情から取りやめとなり保科家に嫁ぐことになったのだ。その事情を知る者はごく一部の人間だった。

 

孫十の逆襲
とある村で娘家族と暮らしている孫十がある日、世話役である仙右衛門に呼ばれた。
何の話かと思っていると、野伏せりが現れて近く野村が襲われたという。
そこで村で唯一戦の経験者である孫十を頼ってきたのだと言う。
仰天した孫十はとてもじゃないが自分には荷が重いと焦った。
孫十が経験した戦はかの関ヶ原大戦なのだが、孫十はその戦で逃げ回っていただけなのだ-----




泣くな、けい
相良波十郎は、酒の勢いもあり女中のけいを無理矢理に手籠めにしてしまう。
波次郎は直後に後悔の念を抱く。そしてずっと病に臥せっていた妻の麻乃が死んだ。
このことがあってからしばらくし、あんな事があってからもけいは黙々と女中の仕事を続けてくれていた。
そんなある日藩の蔵にあったはずの剣が一振り見あたらないことが判明。
剣は研ぎに出して返したはずなのだが、返却は亡くなった妻に任せきりでどうやら返却されていなかったらしい。
今その剣は隣国にあることが判り向おうとするが波十郎は事情あって向かうことが出来ない。
そこに突然頭によぎったのがけいだった。

 

暗い鏡
鏡職人の政五郎を姪のおきみが訪ねてきた。おきみは木綿問屋で住み込みで働いているということで
特に用事のある訳ではないが、伯父の家に顔を見せにやってきているようだ。
そのおきみが殺された。
姪の突然の死に驚く政五郎は何故おきみが死ななければならなかったのかを探るため一人で調べに出た。




裏切りと一夢の敗北 梅薫るの結末は忘れてしまい・・・ネタバレはありません、すみません!

他のネタバレを後述していきたいと思いますー













以下はネタバレ












鬼気

本当に強い人は隠れているかもしれない・・・・が、隠しきれるものではない
という一例のような話(苦笑)
周囲からも自他ともに認める県の腕前を持つ
徳丸、鳶田、平野は隠れた名人という細谷久太夫が気になった。
直接斬り合いを見た人物がいる訳でもないのだが、誰も固唾をのんで見守るしかない
斬り合いを一声で収めてしまったり、尋常ではない身のこなしを垣間見たりと
噂が湧いてくる細谷久太夫。
保科弥五兵衛の話も聞いていよいよ只者ではない・・・と感じ始めた三人は
細谷久太夫の正体を見破ってみようと考えた。
と、いうのもどちらかと言えば自分たちよりも強い訳ではない、と証明したいという
気持ちの方が大きいだろう・・・夜道で細谷久太夫を待ち伏せし
ちょっと脅せばどのような反応をするか試してみることになった。
人気のない林で細谷久太夫にけしかけた三人であったが・・・
結論から言うと、何か起こったわけでもない。斬り合ったわけでも忍者のような身のこなしも
見たわけでもないのだが、自分が何やら知らぬ罠にハメられたと察知した細谷久太夫の
眼力、迫力に一瞬で気圧された三人は、特に何もできず這う這うの体で逃げてしまう。
本当に強い人間は何も手を出さずとも勝ってしまう人間の事かもしれないな・・・と感じた話(笑)
結局噂の真相はわからず仕舞いだが、細谷久太夫は相当な腕の持ち主とみた!(笑)




夜の橋
民次が妻おきくの元を訪ねて話を聞いてみると、どうやらおきくを嫁に貰いたいという
話がありその話をしにきたらしい。
民次はもう縁が切れているし、気にすることもないと言ったが
相手の男が安心な男か気になり少し調べてみることに。
するとその男は自分と同じ博奕へ出入りする胡散臭い男だと解った。
其の事をおきくに告げ、もうその男とは関わるなと言い放って離れた民次は
相手の男にもおきくに関わるなと忠告する事に。
しかしその男と取り巻き達にボコボコにされてしまう・・。
そしてその民次を介抱したのはおきくであった。
「別れても好きな人」でしょうか・・・ん~・・・ともちょっと違いますね。
別れたとはいえ以前は好き合って一緒になった人が、善くない人物と連れ添う事になったと
知った時、大抵の人は心配になるのではないか、という感想。
お互い幸せになれば何も言うことは無いし、その時自分との縁がすっぱり切れるのだが
これから不幸な目に遭うのが判っていて見過ごすことはできない・・・そんな関係。
ベテラン(?)夫婦が別れたらこんな関係が多いんじゃないかなーと予想(苦笑)
最後は復縁した民次とおきく。これで民次の博奕も治るだろうとほんわかする話だった。




冬の足音
時次郎が忘れられないお市は彼を探すことにした。
かつて家の職人だった時次郎は周囲の評判も良く、お市の両親も彼と娘を添わせようと考えていたようだった。
しかし時次郎はある時から一人の女に入れ込み、追い出される態で出て行ってしまったのだ。
女に入れ込んだだけでなく、家のお金にも手を出そうとしていたと母親に聞いたお市は
一時の気の迷いで離れてしまったのだろうと考える。
そして遂に時次郎を見つけた。
再会して時次郎も自分と同じ気持ちだったという事を知るのだが・・・実はもう彼には妻もいて
既に子供もいたのであった。
それを知ったお市は急に気持ちが萎んでいき彼の元を去った・・・。
うーん、こういう話も現代で通じる感じですねぇ。
若い頃一時気持ちが通いそうになった相手が忘れられず、心が引っ掛かり結婚できないままだった。
そして再会し、相手も自分を好きでいてくれたと判ったが相手はすでに伴侶も子供もいたのだ。
「まぁ、その可能性が一番高いかもしんないけどさぁ~何だか虚脱感でいっぱいになるなー。」という
感想(爆)
自分が勝手に思っていただけだけれど・・現実はこんな感じかな?




孫十の逆襲
有名な関ヶ原の戦いが出てきてちょっと力が入ったけれど・・・
まぁ普通に(?)一般兵として参加した男の話でしたね。
いざ戦になると怖くなって戦の最中ずっと逃げ回っていた孫十。
しかし逃げ回っていたことなど知らない村の人達は孫十に尊敬の目を向ける。
そして近くの村で野伏せりが現れて、その内この村にもやってくるのは明白の理。
娘婿や村の男たちと協力して備えるが果たして上手くいくのか・・・

この本で一番ドキドキハラハラした話でした。
作戦は成功し、何とか野伏せり達を退治できたのは良かったけれど
孫十は瀕死の重傷だ・・・彼がどうなるのかは読者の想像に任せられる。
自分としては今は亡き孫十の妻が孫十の「戦の実態」を知りながらも
彼を想って黙って死んでいったという姿に感動した。夫婦だなぁ☆




泣くな、けい
相良波十郎がけいを手籠めにしたのは「こらぁ!」と怒り心頭だったが
けいも波十郎に対しまるっきり悪い感情を持っていなかったとして良しとする。
・・・・・結構よくないけどね。実は処刑ものだけどね。
そのけいが女中でありながら一家の明暗を分ける大事な使いに出るのは・・・凄い。
「そんな役目やらせるなよ!」とも思ったが、けいの聡明さを知っている
波十郎としては一番良い方法だったんだろうな・・・
そしてボロボロになりながらも見事役目を終えたけい!えらいぞ!
これからは波十郎を尻に敷いてやれ(笑)




暗い鏡
これは少し感動したが・・・やっぱり悲しい話かな。
姪のおきみは見た目が美しい訳でもない・・・よって婚期が遅れていて
いつまでも奉公している娘である。そして殺された。
生前は特に親しくもなく、碌に話もしなかったが突然すぎる事態に
おきみの死の真相を調べ始める。
どうやらおきみは奉公で働いていると言いつつ、実は娼婦として働いていたのだ-----
驚きながらも、そんな人生の中で男の影がチラつく。

Posted at 20:17 | 藤沢周平 | COM(0) | TB(0) |
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