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2013.02.24

夏と花火と私の死体

初乙一氏、『夏と花火と私の死体』読了。

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)夏と花火と私の死体 (集英社文庫)
(2000/05/19)
乙一

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ちょっとした手違いで手に取った作品です(爆)
何ともミステリーをそそられるタイトルでありましたが実際は------
今まで読んだ事のない小説だという印象です。ミステリー・・・か?ミステリーかな。

主人公は9歳の少女、五月。
同級生の橘弥生ちゃん、その兄健くん。
三人は仲良くよく一緒に遊んでいるし、その日も五月と弥生は一緒に木登りをしていた。
そして「わたし」は背中に弥生ちゃんの手を感じ、落ちて--------死んだ。

と、まぁ冒頭で主人公である五月「わたし」は死んでしまう。
その後は死体である「わたし」の視点で進んでいくこととなるのだ。
死体からの目線とは・・ビックリで新鮮だし、どうなっていくものだと思いましたね。死体「わたし」の視点ではあるが、やはり視点が動かないのである程度は別の視点が織り交ざっている・・・が、あくまで視点は「わたし」となっている。
木から落とされて死体となった「わたし」は弥生ちゃんと兄健くんによって死体隠匿計画を立てられ、周囲からは「わたし」が行方不明となり、死んだ事も知らされていない。
二人の兄妹は必死で「わたし」を隠そうと様々な手で"移送"したり隠したりして「一番いい場所」を探す。
「わたし」はそんな二人を死体の眼で静かに"見守っている"。
そんなストーリー。

・・・・・いやぁ、これはどうなんだろうか。
正直自分としてはあまり・・・"良い"作品とは思えなかったなぁ。うむむ・・
この作品が好きな方は不快感を抱くかもしれないので下記を読まない方がいいかもですね。


「こういう作風」だし「こういう作品」とはわかっているのだが、死体となった「わたし」と弥生・健二人の人間像があまりにも・・・非現実的で感情移入が皆無だった。
あまりにも突然であり理不尽である死を迎えた「わたし」のあまりにも淡々とした視点や口調も違和感アリアリ。こういう人間像を描いていたのだとしても、やっぱり不気味な印象は拭えない。
死体の目線で、冷静に「死体であること」を認識し「わたし」を隠そうと画策する二人を見ているのもあまりに出来過ぎである。
勿論狙った描写かもしれないが、どこか自分を「殺した」り死体を隠そうとする二人に嫌悪感や憎悪感を言葉尻に少しでも入れていれば違和感がなかったかもしれない。

そして何よりも健くん。

彼は幾つだっけ・・・?高校生位の知識と悪辣さを兼ね備えているねぇ。
五月の死体を一目みた直後にはもう「死体隠匿」の計画を立てられるのだから大したタマである。
こんな子供居ないと思う。
居たとしたらかなり家庭環境が悪いか、「普段は善人ぶっている仮面を被った大人」を見続けてきた子供なんじゃないだろーか、という悪さ。
いくら将来、悪組織の裏ボスになるor連続猟奇殺人犯になる子供だとしてもここまで冷静に犯罪計画を立てられるものではないだろう・・・・たぶん(爆)
三人の中で一番人間らしかったのは妹の弥生ちゃんかな。
彼女は五月を殺してしまったわけだけど・・・やはり思想は子供っぽいし、自分のしたことを何とか正当化しようと必死な様や五月が見つかってしまうのでは、という恐怖感がよく描かれていると思った。
嫉妬心から衝動的に友達を殺してしまう事も含めて・・・。

何よりも哀れだと感じる「わたし」に全く感情移入できなかった分か解らないが、最も可哀想だと感じたのは五月の母親・・かな。
娘が「行方不明」になってから必死で捜し、やつれてしまった彼女が本当に哀れだった。
母親に出会った弥生・健も素知らぬ顔で話すことがかなり腹立たしかったし、そんな母親を他人事の如く冷静にみる五月さえ憎いと思った。

果たして兄妹は「わたし」を上手く隠す事が出来るのか・・・が最大の焦点になるのだが、最期の最期にはかなり驚くべき背景が浮かび上がってくる。
自分としては衝撃だったのだが、その背景・・・というか別枠というか・・・まぁその真相がわかった時、ただでさえザラザラ感のある話がドロドロになった印象。

何かねぇ・・・何だかねぇ・・・。

確かにスッキリ感やハッピーエンドをわざと与えない作品も多いが、これはどうしてもダメだったかな。
「死体」が見つかるハラハラ感や緊張感は凄くよかったのだが、やはり自分は人間像を中心に小説を読んでしまうので、いくら「狙った作風」や「今までにない新鮮な構成」でも人間の描き方がハマらないと一気に評価を下げてしまう。
死体目線であるミステリー構成は面白かったがその視点であれば・・・否、あるからこそ人間の心理描写や小説の描写力に"容量"が無いとなぁ。
「新鮮だからいいわけじゃねーぞ」と思ってしまう。

作者はこの作品を書いた当時若かったようだが(17だっけ?)
自分としては納得だ。
どこか淡々としていて世界を冷静に見つめているのは最近の若者っぽい。
健くん、という人物像も若者が生み出したまんま、である。
逆に泥臭く熱意溢れる若者は激減している気がする。







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Posted at 21:03 | 乙一 | COM(0) | TB(0) |
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