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2013.05.18

ロートレック荘事件

初筒井康隆氏作品『ロートレック荘事件』読了。
ロートレック荘事件 (新潮文庫)ロートレック荘事件 (新潮文庫)
(1995/01/30)
筒井 康隆

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筒井康隆氏は有名で何度か見聞きした事はあるのですが
作品を読んだのは初めてですね!しかも別人物とかぶるのですが・・自分だけ?




これはまぁ見事に叙述トリックの叙述トリックによる叙述トリックための小説ですね!(爆)
叙述ミステリーどストレート!
これは結構久しぶりかもです。
読者を錯誤させる事によって事件全ての謎が芋づる式に判明されていくもの。
叙述トリックと殺害トリックを混ぜたものは良く読んだ事がありますが
叙述トリック一本は意外と新鮮かもしれないですね。気持ちいくらいです。




事件はロートレック荘で集まった将来有望な青年たちと、その男を
娘の婿にと企む親子達の中で起こる。
響き渡る二発の銃声------そして横たわる死体-----
一体誰が、何のために殺害したのか?
最初は和やかながらも次第に疑心暗鬼となっていく面々。
そんな彼らを疑う警察関係者達----




真相が解った後は「あぁ、そういう事だったのかー」という納得感がありました。
主人公がロートレック荘にやってくる辺りから何やら
違和感というか・・スッキリしない印象は抱いていたものの、
叙述トリックは見事騙されましたね。
そこでやっと違和感は払拭できたものの、遅い(笑)
でも前述した通り納得できる事件の真相なので、最後の最後はスッキリできて満足だった作品。
女性の言葉遣いが時代がかっていて目に付きましたが
・・・やっぱり古い作品だったようですね。
まぁ事件で出てくる小道具もあまり聞きなれていないものもありました。

作品自体は薄く、すぐに読み終わってしまいましたなぁ。

もっと長編にもできそうな要素を持っていただけに少し惜しい気もしましたが(苦笑)






以下はネタバレ。









いやぁ、見事な騙し方をしてくれました!

まさか二人と思っていた青年たちが実は三人で、語り手の「おれ」が二人代わる代わるで語っていたとは!

工藤忠雄、若手画家の重樹、そして浜口修。

じっくり読みなおすと所々で「あぁ、ここかぁ!」と色々な伏線に
驚くのかもしれませんが・・どの場面で誰が語っているかでこの小説の深さを
知ることになるのでしょう。

結局事件の犯人は一人の語り手である浜口重樹だったわけですが・・・
彼は幼少の頃身体に損傷を負った影響で下半身の成長が止まってしまった。
その原因となるのが、彼の友人でもあり献身的に重樹の傍にいた浜口修。
この二人が交互に語りだすのが叙述トリック!ですねー。
そしてこの二人の関係こそが、犯行動機でもあり根本的な事件の発生要因になっているんですよね・・・でも一言でいうと重樹の自己保身や自分勝手な理由なのですが。
何だかね・・殺されてしまった三人の令嬢が本当に可哀そうで-------
正直、警察は何やってたんだよ!?という怒りが出てきます。
第一の殺人から別荘では多くの警察官が張り込んでいたにも関わらず
第二の被害者・・しかも殺害方法は第一事件と同じ、拳銃の射殺。
それだけならまだしも、またも同じ方法で三人目の被害者を出してしまうとは
失態以外のなにものでもないでしょう!
他の小説などでは「まぁ、これはやむを得ない」部分があった時がありますが、
今回の事件は明らかに失態ですね
犯人は内部にいると疑っている中で何故第三の被害者立原絵里を独りにしたのか?理解に苦しみます。
おそらく現実ではありえないのではないでしょうか・・この辺りはミステリー小説ならではの「都合良さ」ではないかと。
ここまでイライラしてしまうのは犯人へのイライラさと比例する事ですが
まぁ・・・重樹は本当に自分勝手もいいところ。
本当に自分を愛してくれていた女性までも自身の手で殺してしまうとは
悲劇ではありますが・・自分はここでも重樹の身勝手さが浮き彫りになり
非常に不愉快ですねー。

じゃあなにか!?もし自分の事を愛していなかったら後悔していなかったとでも言うのか!?

自分の事を愛していたと知った途端の重樹が語る木内 典子の好感度アップたるや
見苦しさを感じてしまいました。

彼女を殺してしまった罪悪感というよりも
「あぁ、こんな身体に障害を持つ自分を好きになってくれたのに・・
 しかも令嬢で他の女達と比べても結構美人だし、勿体ない事したなぁ~」
という"悔しさ"ばかり感じるのだが・・。

そりゃ、自分自身を愛していてくれた人を殺す事の方が後悔強いでしょうが

その前に何の罪も犯していない女性三人を殺してしまったという罪だろ!!

最後に解った「自分(重樹)が愛されていた真相」に苦悩する姿よりも
もっと殺人自体に対する罪悪感で終わって欲しかった・・・。

でもその苦悩こそが「自分勝手な殺人鬼」の真の姿なのでしょうけどね。
この犯人を一言で表すとすれば "自業自得" に尽きます。
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Posted at 21:30 | 筒井康隆 | COM(0) | TB(0) |
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