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2010.06.28

伯林水晶の謎

太田忠司『伯林水晶の謎』
霞田兄妹シリーズ第三弾です。
伯林水晶の謎 (ノン・ポシェット)伯林水晶の謎 (ノン・ポシェット)
(1998/12)
太田 忠司

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二弾目が見つからず、第三弾に手を伸ばしてしまったけれど
まぁそれぞれ読みきりタイプのシリーズなので良かった。脇役達の関係が読みにくい部分もあるけど・・・それは仕方ない事なのだ。

駆け出しの作家霞田志郎と同じく駆け出し漫画家・千鶴。視点は妹千鶴。

夜桜見物へと出かけていた霜田兄妹は蹲っている老人に声をかけるが、
その老人は志郎が通った大学のレーガー・ヘルムバウム教授であった。兄妹は教授の友人であり、これから向う途中だったというトマス工業社長宮谷巌という人物のもとへと送る事に。
宮谷宅を訪れると、そこには宮谷巌と思われる死体が発見される。
現場は密室。
そして死体の周囲には無数のガラス片が散らばっていた。
彼は誰に殺されたのか?そしてこの無数のガラス片は一体何なのか?
またもや巻き込まれる形で事件捜査に繰り出した霜田兄妹。
今回は宮谷会社経由で正式な依頼を受けている分「半ば」行きずりな感じではあるが、またも霜田志郎へと訪れる刑事達もいるので否が応にも捜査せざるを得ないんじゃないだろうか。
妹千鶴はやはり乗り気だが、兄志郎はやはり渋る(苦笑)。
この辺は『上海香炉』事件と同じだなぁ。これがこのシリーズの"お決まり"かもしれませんね。まだ二作しか読んでないけど

さて、事件の方は何やら『水晶』絡みである。
現場に散らばったガラス片は水晶の欠片であり、他にも様々な点で『水晶』が
キーワードとして出てくる。
そして背景に見え隠れする戦前のドイツで発生した"水晶の夜"。
欧州の歴史上、そして戦前に起こったこの事件と今回の殺人事件の関係性も
見応えがありました。
この歴史に詳しい人が読めばきっと色々な見解となってくるでしょう。(因みに自分は全く知らんかった;)
こういう歴史上の事件と関連性を絡める構成は好きなので、少しワクワクしながら読みました。
に、しても・・世界って広い、歴史ってまだまだ知られていない事件が沢山あるのだなぁと感じました。小説を通してこう言った"歴史"を知るのも楽しいもんです。
史実かどうか後付調べになってはいますがね・・;








以下はネタバレ。










第一の被害者宮谷巌の周辺を調べるに当たり、色々な事が分かってきましたね。
宮谷の親類やら会社関係者やら・・・。

自分の会社経営が行き詰っているから、巌の遺産を巡って殺してしまったのではないか。
会社関係者が逆恨みをしたのではないか、巌の故郷に住む者の犯行ではないか・・。
色々出てきましたけど、結局犯行の動機は陳腐なものでしたなぁ。
今までの動機背景を全く無視している(爆)孫の自分勝手で幼稚な思想の為に殺されてしまっただけだったんですね。
でも、第二の事件で襲われた老人はどうなるんだ。完全に無関係ではないか
あれは犯人の親に問題有ると思いますけどね。実際あったし(爆)。
自分の息子が人を殺したから何とか庇ってやりたい、という母親の気持ちは判りますが・・・間違っていますよね。
そもそもその息子の育て方が間違っているからしょうがないけど。
自分勝手で我儘で自分の思う通りにならないと暴れる、そしていざ困ったら親に甘える=押し付ける。
至ってムカつく野郎でありました。
そりゃ親としてはいいでしょう、可愛いでしょうよ。
でもそんな子供は家族だけで一生暮らしていける環境だけで育てろよっ!家族以外の周囲の人間は巻き込まれるっちゅーんじゃ!!殺人を犯してもその罪の重さが判らないっていうのもムカつくわぃ。
事件に直接の関係はなかったけれど、印象に残ったのは"水晶の夜"ですね。
宮谷巌の復讐劇。
昔故郷から受けた仕打ちの腹いせに事業で成功した際故郷に仕返しするのは
何とも凄い・・・。臥薪嘗胆か判りませんが、気の長い事ですね。それだけ恨みも深かったのでしょうか。
欧州で登場する"水晶の夜"も印象的。
ナチスのユダヤ人虐殺は有名な史実でありますが、他にもこんな事件が起こっていたんだなぁ・・・としみじみしました。
それら事件背景を含めて、またも落ち込む志郎。そして見守る千鶴。
太田氏の別シリーズの主人公狩野俊介にも感じた事ですが、結構打たれ弱い人物ですね。
悲しい事件が起こるたび気落ちして引き篭もってしまう時もある探偵。だが、ある一面で冷徹な所もある。
今回の事件では志郎の冷徹な思想が垣間見えますね。最後犯人に対して「殺してやる」と思ってしまった所や、
人の残酷さを理解している部分がありました。
文中で兄妹の会話。
「何で人はこんな酷い事が出来るの?」
「人だから出来るんだよ」
といった風なシーンがあります。
ここは凄く納得・同感したシーンでしたね。「人だから出来る」・・・その通りです。
特に戦争映画を見ると感じます。
悪魔だってこんな惨い事思いつかないだろう」という事さえ人はやってのけますよね。悪魔に対して失礼かな、と思うくらい・・・
だから戦争映画見るのは凄く躊躇します。必ず悲劇だし・・正直避けていますね。
だからこの作品読んでも「そこまで酷いかなぁ」と唸ってしまう。
勿論殺人は残酷。しかしもっと残酷で人畜非道な話を読んでいるだけに、志郎や千鶴程の落胆は感じなかった。「いや、それ位やるだろう人間なら」と(爆)
うあぁぁ・・汚れたなぁ、自分
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Posted at 20:45 | 太田忠司 | COM(0) | TB(0) |
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