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2012.12.19

おそろし

宮部みゆき氏『おそろし』読了ー。
宮部氏の時代物ですね。時代モノなのに読みやすい事折り紙つきの宮部氏!

おそろし 三島屋変調百物語事始おそろし 三島屋変調百物語事始
(2008/07/30)
宮部 みゆき

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今回の主人公は17歳のおちか。
叔父の家三島家で女中仕事をしている。
その主人である叔父の酔狂(?)から三島家に奇談・不思議話などが持ち込まれ、おちかはその聞き手をやらされることになる。そんなおちかの連作短編集である。

曼珠沙華
凶宅
邪恋
魔鏡
家鳴り


おちかには何やら曰く・・・というか影がありそれが元で叔父の家で女中しているのだが、その話もこの作品、否シリーズの肝になってくるかもしれない。
あ・・・でも次作ではそうでもないかな?(爆)

やっぱり読みやすく、面白い作品になっていると思います。
けれど自分としては・・・宮部氏時代ものの中ではやや質が落ちるかなー・・・
時代物不思議話だったけども・・・本当の不思議話連作短編だったから、自分としては不思議とみせかけて・・の方が好みだったからかな。(謎)











以下はネタバレ。













曼珠沙華
えらのはった大人しそうな藤吉という男の話。
彼は三島屋の黒白の部屋------おちかが不思議話を聞く部屋にやってきた途端、青ざめて倒れこんでしまった。慌てて介抱してようやく冷静を取り戻した・・・どうやら藤吉は庭に咲いていた曼珠沙華を"恐れている"らしいのだが・・・?
その恐れる理由について話を始めた。
彼には蔵吉という兄があり普段はまじめで働き者だったのだが、ある日堪忍袋が切れてしまい殺人を犯してしまったのだ。その罰で蔵吉は島流しに遭い、藤吉達兄弟はバラバラになってしまった。
その後は働くも、兄の犯罪を知る人たちによって職を追われたり、崩れ落ちるように苦労を重ねていきついには兄とのことを隠す事によって、今の職に落ち着く事が出来た藤吉だった。
そんな時兄蔵吉が島から釈放されて戻ってきたのだという知らせを受ける。
だが今までの苦労は全て兄のせいだという事で兄弟たちは誰も蔵吉を迎えに行くこともせず、藤吉も兄の顔を見ることは避けていた。
そしていずれ兄の事がばれるのではないか、という恐怖と人殺しをしておきながら自分は元の職場に戻り、他兄弟たちの苦労を知らない兄を憎み始めたのだ。
そしてそれから藤吉は兄の死を願うようになり-----数日後、兄は鴨居で首を吊った。
兄を預かっていた親方の話から蔵吉は死ぬ数日前から庭に咲く曼珠沙華に魅入られるように見つめていたという。そしてその曼珠沙華の間から人の顔が見つめていた、と-----。
きっと殺された兄の大工の事だと思っていた藤吉だが、実はその顔は自分だったのだ・・・

故に藤吉は曼珠沙華を見て恐怖に慄いたのだった・・・
兄を死ぬように曼珠沙華の間から呪っていたのは自分の生霊だったのだ・・・そして今これからは兄の顔が見えるのではないか・・・。

うむ・・・恐ろしいものですね。
でも本当に時代は違えど・・・人間やること思う事は同じ。それも恐ろしい。
きっと殺人事件の犯人家族は同じような目に遭っているのではないだろうか・・・東野圭吾氏『手紙』でも同じように書かれていました・・。
悲劇は悲劇を生んでいき、憎悪を生み落して増幅させて・・何の関係もない第三者の悪意さえ呼び起こしていく・・・最悪の負の連鎖。






凶宅
おたかという女性の自分の家で起こった不思議な出来事の話。
錠前造りの父親はある日大きな屋敷の前で虫干ししている風景を見、
虫干し=蔵があるという事でその屋敷で錠前の営業をした。
その話の最中、「この屋敷で一年過ごせば100両やる」と言われ
父親は喜んだが、母親は「いかにも胡散臭い」と言って辞退しようと言った。
しかし、父親からみすみす100両を見過ごすつもりかと強行され
一家皆で屋敷へと向かった------
邪恋はおちかが抱える「影」の話。
何故おちかは叔父の家に預けられ、女中見習いをしているのか?
自分を必死で戒めているのは何故なのか・・・ついにおちかは
その胸中を女中頭おしまに打ち明ける。
魔鏡
幼い頃から身体が弱く遠くに預けられていた姉お彩が絶世の美女となり戻ってきた。
そんな姉を温かく迎えた家族とそこで起こった恋悲劇の話。
家鳴り
これは今までの不思議話の「決着」が詰め込まれた話となっている。
今まで語られてきた不思議話は連作短編集であったが、ここに来て長編を思わせ
るような展開となってくるので、今までの登場人物を覚えたまま読み終えること
をおすすめする(爆)
さすがは宮部氏の時代もの、と言うべき読みやすさを引き込み力ではあるが
自分の中では・・・やや見劣りするという感想。
勿論面白いし、よく描かれているなぁと感じるのだが・・他の宮部氏時代物がレ
ベル高いので「う~ん、あんまりかな」と思ってしまう。
自分としては人間心理的"おそろし"が描かれているのかと思っていたので
本当に不思議話だからちょっと残念(意味不明)
どうやら続編があるという事であるが・・もう少し時間がたったら(でも人物は忘れない、程度に)
手に取ってみようと思う。

短編集だが、前述した通り家鳴りで長編めいた構成となっているので
全体を通したネタバレ&感想になる。
とりあえずは・・おちかの過去でしょうか。
確かに自分を責めたくなるような重い過去を背負っていましたね。
死に掛かった(爆)所をおちかの父親が助け、その後奉公人となった松太郎。
おちかに縁談話が持ち上がってきた頃、からかい半分で松太郎と
くっついてしまえばいい、と囃し立てる周囲・・しかし心根では
既に決められている婚約良助者がいたり・・
人の気持ちを軽んじた結果の悲劇とも言えるでしょうね。
主人公じゃなかったら・・・と、いうかこんな女の子を
主人公にしたのかよ、っていう位やな娘だなと思いますね。
おちかはむしろ主人公の女の子に
「そんな事したら相手が傷つくの当たり前じゃない!
 ずっと反省して供養してあげなよ」と叱責する側の
"連作短編集で出てくる一話の主人公格娘"レベルである。
宮部みゆき氏が書く女の子としては何だかな・・・
何だかんだで自分勝手だし、悔いているのは・・そして悔い続けるのは当たり前だ、という事をしたと思う。
人の心を傷つけ怒らせたのは別人物だが、それを黙って見ていただけでなく
怒らせた人物が殺された後は自分だけは助かりたい、自分は何も言っていないか
ら悪くない、という性根。
嫌な奴だけど、結構いるこういう人という像でもある。
自分だって嫌だと言いながら、いざとなるとこういった醜い性根を出してしまう
可能性だってあるのだ。
だからこそおちかの気持ちも判るが、やっぱ嫌な感じ(爆)
最終的に連作短編集の大半は一つの話へと繋がっていく---
"凶宅"という話で起こった悲劇の謎が最後に明かされることになるのだが・・
ここが何とも現実から離された世界の話となる。
「本当に不思議な話」(ファンタジーめいたもの、霊現象など)と
「不思議と思わせた話」(何らかのトリック等で不可解に見せた人間の仕業)
と弐種類に分けたとき、前者になるタイプ・・
まぁつまりは推理でもミステリーでもなくファンタジーに近い話となっていたようだ。
"凶宅"では唯一の生き残りとされていたおたかが実は毀されており、
彼女の家族は皆死んでいた---
そして最後"凶宅"の舞台となった屋敷に向かったおたかは、そこで屋敷に取り込
まれそうになりながらも周囲の人たちに助けられ、窮地を逃れた。
そしてそこで出会ったのは今までおたかが聞いてきたお話しに登場した人達・・
だがその人たちは皆死んでいる筈の人達なのだ。
そう、この屋敷は"そういう場所"でありまた人を求めていたらしい。そしておちかはそこで松太郎の姿を見つける。
結論としては・・まぁ死人が行くべきところへ行き、収まった形になるのだが・
・続編があるように、"凶宅"は残ったままでまだ悪事を働かせる気満々である(爆)
続編でおちかはどう立ち向かっていくか・・は、判らないが
何だかザラザラ感が残る終わり方だと思った。
こんなあからさまに「まだやるぞ」感を残さずとも・・もっと余韻が残る書き方
をしてもいいんじゃないかな、と思った。
終わった・・けどやっぱりまだです。あ、やっぱおわり・・と、思ったけど
もっとやるかもね みたいな
こびりついた不満が残った。(爆)





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Posted at 20:56 | 宮部みゆき | COM(0) | TB(0) |
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