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2013.08.24

闇の歯車

藤沢周平氏『闇の歯車』読了ー!

今回も時代物だが、今回は珍しく長編になっています。


闇の歯車 (講談社文庫)闇の歯車 (講談社文庫)
(2013/02/25)
藤沢周平

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現時点で藤沢氏の長編はあまり・・・という感想で中々読み切れなかったのですが
この『闇の歯車』は読み切った!面白かったです。
佐之助は檜物師であったが、きえという女房と別れ一人暮らしていた。

今の仕事は以前きえと別れる原因ともなった博奕よりもあくどい手で暮らしていた。
長屋の一角に住んでいる。
佐之助が通っている飯屋・おかめではいつもと同じ顔触れが並んでいた。
口をきいたわけではないが、いつもお気に入りの店に通う常連客が
自然と覚えてしまうもの・・
そんな顔なじみの男たちと佐之助がある日一人の男に
一つの"計画"を持ちかけられる-----
佐之助を始め、様々な事情を抱える男たちの話。

彼らの事情を見知り、それを持って"計画"を持ち込んできた謎の男伊兵衛。
彼の"計画"と彼らの運命や如何に-----である。




口をきいたことはないが、顔は良く知っているという
妙な距離感と親近感を抱いた関係・・常連客。
そんな人たちの話は何だか日常と馴染みがあり、関係性は面白いと思った。
近年人間関係が希薄になってきたと言われているにしろ、

毎日何気なく見ている顔触れは自然と覚えてしまうもの・・
常連店であったり、いつもの通勤・通学する時に見るホーム上であったり
習い事の為に通うビル内の人達であったり・・・

話しかけることは無いが、自然と覚えてしまい、なんとなく親近感を抱く人達。

見えることは無いがそんな人たちにも生活があり、家庭があり、事情がある。

そこに踏み込んだ作品である部分は妙に温かい気分になるが、
それらを結びつけたのは伊兵衛という謎の男であるという点が
不気味な線としてひんやりさせられる。
果たして結末はどうなるのか-----とハラハラさせられつつも
物語の流れに引き込まれ、あっと言う間に読み終えた。
切ない部分や涙が潤む部分もあり、自分としては満足の作品。











以下はネタバレ。











ネタバレというか・・結末について書いていくので未読の方は注意。
やはり・・・常連客達の行く末に色々感想がありますねー。
謎の男伊兵衛は表向きは金貸し、裏では人を一人殺した泥棒であった。
伊兵衛はこれまでに三回素人を使った押し込みをしているが
素人と関連性のない人達を使っている所から証拠を掴めず捕まえられていない。
今回もまたおかめ常連客達・素人を使って押し込みを企てた、という話だ。
岡っ引きで伊兵衛の過去を調べた新関と芝蔵も加わり、彼らの物語が進む----
佐之助は元々「表」の人間ではないし、女房と別れて気軽な独り身だ。
彼にも長屋近所に住むおくみと昵懇になったが、彼女はふと姿を消してしまう。
彼女を探しながら舞い込んできた押し込み話。
常連客一人目、伊黒清十郎は
静江という病弱の妻を持ち、薬代などで生活は困窮している。
静江はかつて人の女房であったものを清十郎は奪った形で夫婦となった経緯があった。




弥十という老人はおやすとその娘おはると暮らしている。
いつもおかめに来ては唯一の楽しみである酒を呑み、
ぐでんぐでんになったのをおやすらに引っ張られて帰っていく。
お酒に対しての小言を日々喧しく言われており、いつか旅に出たいと思っている。
仙太郎はやや身なりの良い若者。
兵庫屋という夜具の老舗の息子で良い縁談で許嫁が決まっているが、
おきぬというふと出会った茶屋の女と切れないでいる。
許嫁おりえと藤七は知っている。


各々共通するものはやはり金-----


伊黒清十郎は妻と暮らしていくため
弥十は酒代と旅に出る資金
仙太郎はおきぬとの手切れ金
佐之助は・・なんだっけ(爆)

彼らの素性と事情を調べ尽くし、一人ずつ仲間を引き込んでいく伊兵衛。
岡っ引きに目を付けられているにも飄々と躱し、巧みに計画を進めていった----
手筈や段取りなどいつものおかめで話し合った「押し込み団」は
互いの事情は良く知らないまま・・ただおかめの常連客達だという事は知りつつ

ついに押し込みを決行した。
店の者を縛り、出入り口を確かめて見事五百両を手に入れた・・・と逃げるその時
思いがけない人物が飛び込んできた。
もう帰っていたであろう女中が戻ってきて、押し込み最中に遭遇-----
そしてなんとその女中は佐之助の下女房きえだった。
始末しようと伊兵衛を抑え、この事は漏らすな、ときえに言い聞かせた佐之助と

一団はとりあえず逃亡、金を山分けした。

しかし、そこから事態は様々な所で動き始める。

伊黒清十郎はお金を得たが、肝心の妻静江の病状が悪化しそのまま息を引き取ってしまう----
そしてその日、かつて静江との因縁がある室谷半之丞がやってきて
打ち合い、相打ちとなって果ててしまう。

仙太郎は百両を持ちおきぬへ絶縁を申し出る------
それを聞いたおきぬは承諾・・した直後仙太郎ののどを掻き切った。

二人は死んでしまったが、弥十はギリギリ(?)九死に一生を得る。
お金も手に入り、いつ使おうかと考えながらいつものように孫の手を引いて
散歩に出た弥十。
だがそこでふと目を離したすきに孫が人攫いに遭う・・
すぐに気づいて人攫いへ食い掛かった弥十であったが、そこで犯人たちに
殺されそうになるが、周囲の人達が気づき何とか助かる。孫も無事だった。

さて、押し込み張本人である伊兵衛だが、彼は今までの犯罪で唯一生き証人となった
被害者宅の女中---きえ---に対し危機感を持っており、始末しようと考えた。
それを察知した佐之助や岡っ引き達によってきえは何とか無事、伊兵衛を捕まえることが出来た。
事態がひと段落した佐之助の元におくみが戻ってきて
佐之助はとりあえず一件落着、という流れ。
佐之助は本当に良かったぁ・・という結末だが、他の三人は何とも悲劇的ですな。
弥十に関しては、身を挺して孫を守った姿に泣きそうになりました・・
おやすは自分の子供おはるを守ってくれた父親に感動し
これまで冷たかった態度を反省しする・・そりゃそうだよなぁうんうん。
弥十がボケてしまったのは可哀そうだが、これで家族温かく過ごしていけるでしょう。良かった・・

伊黒清十郎は・・悲劇ですね。
まぁお金を得ても助かるか解らないほどの病状だった妻・・彼女が亡くなってしまったのと
かつての業を償わなくてはならない決闘-----
彼らが良い夫婦であっただろうだけに、非常に悲しい話でした。

同情心薄いのは仙太郎ですね。(爆)
コイツは正直自業自得でしょう。
堅い身持ちでありながら、女と切れないでいる・・・
しかも手切れ金で済まそうとしているのには腹立たしいもの。
「別れてなんか、やるものか」と躊躇なく仙太郎ののどを裂くおきぬの
狂気も怖いですが・・・まぁ仙太郎が悪いですね。
女をいい加減な目で見ていると・・怖いんだぞ(爆)女は鋭いのでそういう目を察知するからなぁ。


主人公である佐之助が一件落着で終わったのが、読後の後味を纏めたのでしょうか。
彼がこれからまともな職に就くことを望むばかり☆


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Posted at 20:13 | 藤沢周平 | COM(0) | TB(0) |
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