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2013.07.27

春秋山伏記

藤沢周平氏『春秋山伏記』読了ー。

春秋山伏記 (新潮文庫)春秋山伏記 (新潮文庫)
(1984/02)
藤沢 周平

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ここの所藤沢氏の作品にハマっており、続々読んでいるけれど藤沢氏の作品は多いので尽きないー助かる!

・・・けど、いつまで持つかな(苦笑)

今回この作品は大鷲坊という山伏を主人公に、彼が居ついた村の人々を綴る連作短編集のようだ。
山伏というものがぼんやるとしかわからなかったし、実際Wikiで調べてみると

「山伏(やまぶし)とは、山の中をひたすら歩き、修行をする修験道の行者。「修験者」(しゅげんじゃ)ともう。

奈良吉野山地の大峯山(金峯山寺)を代表に、大山(鳥取県)や羽黒山(山形県)など日本各地の霊山と呼ばれる山々を踏破(抖擻)し、懺悔などの厳しい艱難苦行を行なって、山岳が持つ自然の霊力を身に付ける事を目的とする。」

との事。

まぁ、村の寺に居ついた験者ですかね。村の中で起こった様々な「困りごと」を

時に穏便に、時に荒っぽく解決していく話。

一つの村で平和に暮らしている中でも、やはりそこは人の世。小さいながらも色々な事が起こるもの。

どう"おとしまえ"を付けていくのかが見所かもしれないなーと。




験試し

おとしは腕の感覚が無くなりそうになりながらも、必死で娘のたみえの腕を掴んでいた。

近道をしようとしたばかりに娘たみえが崖から落ちそうになってしまったのだ。

この山道に未だ人は通らず、必死に助けを呼ぼうとも誰も気づかない様子で、もう駄目だと覚悟を決めたとき一人の山伏が助けてくれた。

その山伏は昔鷲蔵といい、おとしと同じ村の人間だった。

今は大鷲坊と名乗り山伏をやっているらしい。

正式な書付を持ってやってきた大鷲坊であったが、村にはすでに月心坊という山伏がおり

二人は村の残りを賭け対決する事となった・・・。




狐の足あと

村の一角に住んでいる広太・さきえ夫婦がいたが、広太は年の大半を村の外で働きに出ていた。

さきえは美貌の持ち主で、村の男たちが狙いそうなものだが夫の広太が恐ろしく

誰も手を出すものは居なかった。

だがとある夜、藤助は偶然にもさきえが一人でいるはずの家から誰かが走り去っていくのを目撃する。

恐れて黙っていた藤助であったが、つい仕事仲間に漏らしてしまう。

いつも無口で静かにしていた権蔵という者も、はじめは何気なく聞いていたが

権蔵の家は子も多く、その日その日の食い飯を何とかしのいでいるという状況だった。

困極まってきた権蔵は藤助の話を思い出し・・・。




火の家

村のはずれの水車小屋に若者が住み着いたらしい。

この若者は源吉といって、もともとは村の人間だったようだが昔村の人間から

酷い仕打ちを受け両親は死に、家は焼けてしまったのだという。

村の皆は何とも不気味で大鷲坊に源吉を追い出して欲しいと相談するのだが・・・




安蔵の嫁

太九郎の家近くを通りかかった大鷲坊は太九郎のばあさんに安蔵の嫁を世話してくれないかと頼まれた。承諾した大鷲坊であったが、いざ安蔵に会ってみると容貌は普通ながら

態度が何やらなよなよしい印象を受け、「これでは年頃の娘が遠慮してしまうかもしれん」と

不安を抱く。だが安蔵には見た目の態度とは裏腹に仕事熱心な上、かなりの力持ちだという事が解った。

一方同時期に今度は友助の娘・おてつが狐憑きになっているという相談を受けた大鷲坊。

しかもこの狐、中々の強敵で大鷲坊は一遍に二つの悩み事を抱えてしまう。




人攫い

祭りの夜、おとしの娘・たみえが行方不明となった。

取り乱したおとしからたみえの捜索を頼まれた大鷲坊は

村に聞き込みをするが、誰もたみえの姿を見ていない。

村総出で探してみても見つからない・・・どうやらたみえは祭りの日にやってくる

箕つくりの人間に攫われたという事が解った。

別の村の目撃者から箕つくりの夫婦がたみえらしき少女を連れていたというのだ。

たみえを取り戻すため大鷲坊と、何としてでもついてこようとするおとし含めた捜索隊が

見つけるのは困難と言われる"箕つくりの集落"を追う。




自分としては面白かったですね。

各話は短編で読みきりだが、そこは連作短編集らしく一つの繋がりも持っている。

各話で登場する人物達は同じ村人なので、時折知った名前が登場し

さらに新しい人物を持ってくることで幅を持たせている。

間を開けて読むと「あれ?これ誰だったっけ?」となるかもしれないので(笑)

記憶が新しい内に読むことをオススメする。特に記憶力に自信がない人。

同じ村なので、前に出てきた話の「その後」がちょっと出てきたりするのも楽しい。

昔の日本では当たり前のようにあった"村の姿"を垣間見える所も面白いかと思う。

村ならではの噂の広がり、結託、よそ者への敏感さなど。












以下はネタバレ。















ネタバレというか・・ミステリーでもないのでネタは無いのだが

話の結末に触れている部分が出てくるので、ネタバレとして書きますー。

印象に強いのは狐の足あと・火の家・人攫い でしょうか・・

狐の足あと では権蔵のねー・・いくら貧乏に喘いでいるからと言って

娘を黙って売りに出してしまうのは許せん!と思った。

でも昔はこういう事がふつうにあったのだろうなー・・と思うと切ない。

しかも娘を売ったお金でお酒を飲んでしまうとは・・妻が激怒してしまうのも無理はないし

罵倒されるべきだろうなー・・うん。

後の話で権蔵の家が少しずつ盛り返し、いずれは娘を買い戻せるようになるだろう、という

一筋の希望を信じたいと思った。

火の家

これは村やら集落やら・・集団心理の汚さを出した例の一つかなと。

源吉は昔村の人達から酷い目に遭わされて家を失った。

その源吉がふと村に戻り、沈黙を守っている-------村の人間にとっては不気味でしょうがないし

いずれとんでもない仕打ちを受けるのではないかと恐怖する・・。

でもこれは身から出た錆である。

しかし人はこれを認識しているにも関わらず、さらに酷い仕打ちをしようとしたり

目を背けたりする・・・「排除」しようとするものだ。

自分が悪いと解っていながらも・・・いや、解っているからこそ恐怖が大きくなり

より弱い方へと流されてしまうのだ・・・

蔑みながらも真向から批判できない自分がいるのも確か・・・はああぁぁ;悲しい。

でも源吉に対し唯一好意的な娘がいたのは良かったし、源吉あg本当は

優しい青年だったのだと解り、ちょっとホッとする。

でも何も言わず源吉が村を去ってしまうのは・・やはり悲しいと感じた。

人攫い
おとしは験試しから登場する気立てのよい女性で、自分は好きだったから
何度も登場してくれるのは嬉しかった!
安蔵の嫁では大鷲坊が色々な娘に安蔵を薦める中、未亡人となっている

おとしには薦めないのにほくそ笑んだりした(爆)

そのおとしの娘・たみえが失踪し、攫われたと知った後のおとしは

母としての強さ、仄かな狂気さを感じた。そこにまた好感を持つなー。

子供の為なら母親はどんなに危険でも、どんなに辛くても立ち向かっていけるんですね。それでこそ女だ!

最後は大鷲坊とおとしがイイ感じ(笑)になってきて終わるが、きっとこの二人は結ばれるだろう。

それにしても山伏の妻って巫女じゃなきゃいけない様ですね・・・知らなかった。

まぁ、どうにかなるようですが(笑)

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