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2013.10.13

橋ものがたり

藤沢周平氏『橋ものがたり』読了ー

こちらも短編集、「橋」に出会いあり、別れありすれ違いあり・・・
キーワード「橋」に纏わる様々な人たちの話。

橋ものがたり (新潮文庫)橋ものがたり (新潮文庫)
(1983/04)
藤沢 周平

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約束
幸助は錺師の年季奉公が明けたばかりで、心が騒いでいた。
というのもある"約束"のためだ。
五年前、ふと口に出た儚い約束・・けれど心にずっと重く座っていたかけがえのない約束である。
幸助は五年前、幼い頃から仲が良かったお蝶と橋で会う約束をしていた。
果たしてお蝶はやってくるのだろうか?
五年物歳月が経っている-----五年もあれば人も変わるだろう。お蝶も、そして自分も変わった---

小ぬか雨
おすみが裏口を閉めようとしたところ、傍で人影が蹲っているのに気が付いた。
驚くおすみ。その人影は若い男の様で、人と喧嘩をして身を潜めていると言う・・
暫く匿ってくれないかと頼まれ、怪しみながらもその男を匿う事にしたおすみだが----

思い違い
源助はいつも両国橋できょろきょろとしてしまう。
すれ違うだけで言葉を交わしたことが無いが、ある女性を一目見るためだ。
朝や夕方決まった時刻にすれ違う娘であった。きっと両国広小路界隈か神田辺りに
通っている娘だろうと想像を膨らませている----だけである。
ある時、その娘が二人の男に絡まれていたのを見、どうにか男たちを追っ払った。
その時初めて娘と口をきくことが出来、娘の名前がおゆうだという事も知った。
心弾む源助であるが、その後すぐ親方に呼び出され---

赤い夕日
若狭屋新太郎の妻になったおもんはある日、新太郎に女があると疑惑を抱いた。
というのも手代の七蔵が密かにそう言ってきたからだ。
だが日頃からおもんを舐めるような目で見てくるこの男をおもんは苦々しく思っていた故
その時はすぐにそんなことを忘れたのだが、最近また気になってきたのだ。
そんなある日、おもんの元に斧次郎の使いだという男が訪ねてきた。
おもんはその斧次郎の存在を隠して結婚した身----斧次郎の用事とは?

小さな橋で
広次はいつものように姉おりょうを迎えに行った。
父が出て行ってから母おまき、おりょうと三人暮らしだ。
迎えに行くとき広次はいつも恥ずかしい思いをしている。
と、いうのも姉おりょうは米屋の手代である重吉と"でき"ている・・・と、いうのを周囲に知られているからだ。
重吉は妻子のある身で、そんな男にしなをつくっている姉にも腹が立つし、母親と姉の諍いも気分が重くなっていくばかりだ。


氷雨降る
汗水たらして一所懸命働いたのは何だったのか-----最近吉兵衛そんなことを思う。
若い頃は働きに働き、四十代となると生活にある程度余裕がついてきた頃からか----やることをやり終えた虚脱感のようなものが湧いてくる。そして妻や息子の豊之助の間の溝は深まっていく。
そんなときは心やすめに昔からの馴染みのおくらの元へ通うのだが、その途中川を見下ろす奇妙な女を目にした。


殺すな
吉蔵は家に戻る前、近所の筆作り職人小谷善左エ門のところに寄り、妻お峯の様子を聞いた。
お峯は元船宿家付きの家庭の娘であり、許嫁がいるお峯を駆け落ち同前で一緒になった。
だが一緒になって時間が経つと、お峯が「厭きてきた」節がある------
昔の家が懐かしくなって戻りたくなっているのではないかと吉蔵はにらんでいる。



まぼろしの橋
おこうは祝言を控えていた。
美濃屋で拾われて育ったおこうはそれを隠さずにしてきたので周囲は気にする者はいない・・・だがおこうは近頃幼い頃父親らしい男を思い出していた。
そしてある日その父親の知り合いだという弥之助が訪ねてきた。おこうの父親は三年前に死んでしまったというのだが・・・

吹く風は秋
弥平は賭場の壺振りを手伝っていた男で今は江戸を離れているが、そろそろほとぼりが冷めたころだろうと戻ってきた。
今懐には三十両のお金がある。頼りはその金だった。
弥平は一夜一緒に過ごしたおさよという女を思い出した。
慶吉という夫の借金を返すため女郎となっていた女で、どこか素人じみており
夫が買い戻してくれるのを待っているという。しかし・・・。


川霧
蒔絵師の新蔵は年俸奉仕も終わり、そろそろ一人前の職人になろうとしていた。
新蔵は何日か前からひと気のない橋に一人ぽつんと立っている女が気になっていた。
最初は気味が悪いと思っていたのだが、ふと女が身を投げるのではないかと思ったりもした。
そしてある日その女が欄下に倒れているのを見つけた。その介抱をしたきっかけで女はおさよという名前だと知る。
















以下はネタバレ。














記憶がまばら(?)なので・・すみません、覚えている限りのネタバレになります

約束
少年少女の淡い恋-----だったけど五年も経てば大人になった恋(爆)
ギリギリ再会できた幸助とお蝶だったが、お互い後ろめたい事情を抱えていた。
幸助は主の妾と関係を持ってしまった事、お蝶は二年程前から身体を売っている事---
でも心にはいつも再会するという光を抱き、ずっと心で想いあっていた二人。
一度駄目かと思ったけれど、事情を知った幸助がそれでもとお蝶を迎えに行って良かった。
長い月日でも二人は結ばれるようだねぇ・・よかったねぇ。
でも幸助お前は自分の「後ろめたさ」を話すのか?話さないんだろうなぁ・・なんだかなぁ;


小ぬか雨
始めは勢いで、その後はズルズルと男を匿ってしまったおすみであったが
その男が礼儀正しい男であったこと、半年後祝言を上げる相手の勝蔵が
厭らしい男であることで心をかき乱されるおすみ・・・う~む、悩ましいな(爆)
結局男は女にたぶらかされた挙句殺人を犯したわけだけど、性悪という
訳ではなかったので・・まぁおすみが無事で良かったけれど・・男は去ってしまう。
勝蔵にも匿ったことがバレてしまったわけだし、これからおすみはどうなるのだろうか・・
という心配が余韻を残す作品。きっと縁談は破談だろうけどね、まぁ勝蔵の嫁にならなくて
良かったんじゃないかなー

思い違い
源助は見た目はブサイクだが、性根は良く職人としての腕も良いようだ。
遊び人であるが親方の娘であるおきくとの縁談が来たときは驚いたが・・
おきくが妊娠しているとは!えげつないぞ親方っ!
でもまぁ源助に惚れこんでいるのは間違いないようだからいいけど
気になるのはおゆうですねー。
彼女はどうやら女郎として働いていて借金もあるようだが
源助はきっと受け止めてくれるだろう。二人の祝言を祈るばかり

氷雨降る
おくらという店まで運んでおひさを介護した。
しかしひと月以上経ったころ指物師という喜作がおひさを迎えに来た。凶暴な男たちにボコボコにされながらも
おひさの居所を喋らなかった。
何だかね・・家に居場所がない寂しい男の妙な温かさを感じる作品ですわな。

殺すな
お峯はやはり家を懐かしがり戻っていきたいようだったが未練のある吉蔵は
逆上してお峯を刺そうとしたが昔「いとおしい」と思った女を刺殺した小谷善左エ門に止められる。
お峯は優雅だった実家に未練があり、吉蔵はそんなお峯に未練がある・・・
最期は小谷善左エ門に止められて事なきを得たが・・・これは近年でも顕著である
ストーカー事件と繋がるものがあるね。
愛は無いけど執着はある・・・そんな人間ほど自分の愚かさに気づいていないものなんだなぁ。

まぼろしの橋
これは・・一歩間違えれば不気味で恐ろしい話なのだが、温かい真実の分らなぬ
親子愛を感じさせてくれる作品だったなぁ・・。
弥之助は知り合いだといったと言うが、実の父親ではないかと彼の家に度々訪ねてはお台所を手伝ったりしていたおこう。
ある日安という男が来て襲われたが、弥之助に救われた。
弥之助という男の経歴からみてもおこうの父親ではないのだ。
けど、弥之助は助けてくれた-----何故なのか分らないけれど、おこうや読者はやはり
実の父親ではないのか、と思ってしまう。どちらにしろ弥之助はおこうに対し娘のような愛情を持ったという事は間違いないだろう。じわりと温かいものが広がる。

吹く風は秋
弥平はおさよの夫慶吉が未だ博奕狂いでおさよを買い戻す気はないと知る。
そこで弥平はかつての腕を遣い、再びイカサマ壺振りをやる。勿論、とてつもなく危険な行為だ。
でも彼はやってのけ、稼いだ金と合わせて六十両全てををおさよに渡して去っていく。
これから彼がどうなるのか、おさよは足を抜く事が出来るのか・・・描かれていないので判らないが、きっとおさよは岡場所から抜け出して、普通の生活を送ることができると思う。自分は確信するぞ!
でも心配なのは弥平だ。彼は助かれ・・いや、彼もまた見事に逃げおおせて助かるだろうと信じるぞ!たった一夜交っただけの他人の女----そんな女の為に命を懸けてでもお金を渡すとはなぁ・・これこそが「男」なのだろうか、と感じた作品。
きっとおさよは弥平の事を生涯忘れることなく、そして自分の子孫に語ってゆくのだろう---

川霧
この話も良かったな・・・自分は好きだ。
ふと知り合ったおさよ・・おさよは酌とりをしている女で、やはり訳アリの女だったのだ。
辰五郎という男が島流れをして帰ってくるのを待っていた。
新蔵は辰五郎が戻ってきてからおさよが消えてしまった・・・けど彼女は新蔵の元を戻ってきた。
いやぁ、良かったねぇぇ。
これで二人静かに幸せに暮らしていってくれ。



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