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2013.09.14

隠し剣孤影抄

藤沢周平氏『隠し剣孤影抄』読了ー。
題名通り"隠し剣"に纏わる短編集となっている。面白かった!
その道・流派の中でも特別な者にしか伝わらない秘剣を駆使して様々な闘いが起こる。

隠し剣孤影抄 (文春文庫)隠し剣孤影抄 (文春文庫)
(2004/06)
藤沢 周平

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邪剣竜尾返し
檜山絃之助は今回初めて夜籠りをすることとなった。
赤倉不動で本尊開帳があり、参詣者達が祈祷を行いそのままお籠り堂で一晩を過ごす事だ。
お籠り堂は様々な人種で犇めき合っており、各々雑談や食事を摂っていた。
そんな中見知らぬ女が檜山絃之助に話しかけてきた。その女性は美しく------
赤沢弥伝次は執拗に絃之助へ勝負を挑んでくる男だったが、絃之助はいつも流していた。
だがそんな赤沢の挑戦を避けられない事となっていたのだ。
絃之助は父に雲弘流秘剣・竜尾返しの教えを請うのだが父は以前から寝たきりで
言葉を上手く発することが出来なくなっていた。



臆病剣松風
満江が瓜生新兵衛に嫁いでから五年---つつましくも生活に困ることない平凡な生活。
子供を授からない事以外は特に不満も無く暮らしていたのだが、最近満江は夫新兵衛を軽んじている自分に気づいている。
それも三年前の大地震で夫が大変な怖がりだと知った時から始まり、町に暴れ馬が現れた時にも夫の大変な臆病さを見てしまい、それから態度にも表れてきているのだ。
満江は嫁ぐ前、夫は海坂藩の鑑極流の達人瓜生新兵衛であり秘剣・松風を授かっている名手と聞いたから結婚にも決心できたというのに。
そしてそんな新兵衛に藩命で若殿の警護という仕事が舞い込む。



暗殺剣虎ノ目
藩の執政会議は二派に分かれて論争に入っている。藩主を批判した組頭牧与市右ェ門はお上からいずれお咎めがあるだろうと思っていたら、何者かに殺されてしまった。藩に伝わる秘剣虎ノ目の遣い手にやられたらしい。牧与市右ェ門の息子・達之助は刺客が清宮太四郎だと推測した。清宮太四郎は妹志野の婿となる男だ。

必死剣鳥刺し
三左ェ門は藩主・右京大夫の愛妾を刺殺していた。だがその処分は以外にも寛大なもので三左ェ門は拍子抜けしたのだが、右京大夫の態度は大変冷たいものであり右京大夫が愛妾を殺したことを忘れた訳ではなさそうだ。
ある日中老の津田民部から三左ェ門は秘剣鳥刺しを遣えるのは本当かと訊かれた。
その秘剣は三左ェ門だけが知っていて、まだ誰も見た事が無い"必死剣"であった。
津田は近々お上を襲う者がいる、という事で三左ェ門をその警護に当たらせようとしたのだ。
その者は帯屋隼人正----そして。


隠し剣鬼ノ爪
狭間弥市郎が牢をやぶったと知らせを受けた宗蔵。
狭間弥市郎はもともと変わった人物だったが、三年前藩屋敷で小姓頭の市村彦右衛門を斬りつけ
郷入り処分となった男だ。
藩主右京太夫の前でやった剣術試合で宗蔵は弥市郎と闘い勝った-----
それ以来弥市郎は宗蔵を敵視するようになった模様だが、それと宗蔵が道場に伝わる秘剣・鬼ノ爪を受け継いだからという点からも強くなっているようだ。


女人剣さざ波
浅見俊之助はおもんという芸妓と身体の繋がりを持っている。
普段から家に居つかず、度々やってきては遊んでいるのだ。
と、いうのも妻邦江といるのがつらいからである。元々俊之助は町で評判の美人であった千鶴---の妹を嫁にもらえると聞いて一も二も無く受諾した。
ところがいざ縁談が決まりで会ってみると、美貌の妹である邦江は肌が浅黒く狸のような顔をしていた。
途端に裏切られたような気持になった俊之助はずっと邦江に冷たく当たっている。
その俊之助が藩命で内偵を命ぜられる------


悲運剣芦刈り曾根炫次郎は義姉の卯女身体の関係となってしまった。
だが曾根炫次郎は既に縁談も決まっており、相手とも相手の家族とも会っている。
相手である石栗家の娘奈津とその兄麻之助からいつまで嫂である卯女を実家に置いておくつもりか
と催促され、冷や汗をかきながら言い訳をしては引き延ばしていた。
耐え切れず炫次郎は友人の石丸兵馬に卯女との関係含め相談するのだが、結局は自分自身で解決しなければならない問題である。そしてその矢先、最悪の事態が起こってしまう。


宿命剣鬼走り
双方の子達が悲劇の死を迎え、小関十太夫と伊部帯刀の因縁が深くなっていく。
妻浅尾との関係が冷え切っている小関十太夫はさらに度重なる悲劇に茫然としていく。
曾祖父から伝わる戦場剣の秘剣鬼走りの遣い手である十太夫と帯刀の対決が近づいてきた------



色々な流派と秘剣があるものですねぇ・・
今は廃れてしまった事だけれど、こういう話を読むと日本は本当に武士・刀の社会だったのだなぁ
と感じますな。
真っ向の勝負であれば斬り合いも公認(?)な所も凄い。アメリカだと撃ち合い・・でしょうか。
様々な物語がありましたー・・
じんわりしてしまったもの、自業自得だと感じたもの含めてやはり面白かった。









以下はネタバレ。















ミステリーではないし、前述でおおまかのあらすじは書いてあるのでざっくりと。


邪剣竜尾返し
檜山絃之助はお籠り堂で初見の女性と関係を持ってしまった。
だが実はその女性は赤沢弥伝次の妻であり、妻と関係を持ってしまった事で
決闘を持ち出し、絃之助と勝負する機会を得た。
絃之助は妻を使った弥伝次の罠だと勘ぐるが・・・
まぁどっちにしろあっさり女の色香に流された絃之助が悪い!
罠に嵌められたのなら、この罠は嵌った方が悪いのだ。女と肉体関係を持ったら
今後殺されようが、責任を取ろうがすべてにおいて背負うべき。
肉体関係だけ繋いで「はい、さよなら」じゃねーんだよ!
第一彼女が夫の頼みでもなく、弥伝次が仕組んだ事でもなかったらどうする気なんだっての!
そんな馬鹿な決闘でも秘剣持ち出すなんて・・・秘剣が穢れそうだな。

臆病剣松風
この話は好きだなぁ。
秘剣を遣う瓜生新兵衛ではなく、妻の視点で綴られるのも良い点だと思う。
妻満江は夫の臆病振りに辟易していた。そんな中、ふと従兄弟で無頼漢の道之助がやってきて
満江を口説くという展開・・・最近聞く事のなかった"女性への甘い言葉"「最近きれいになった」
だのと囁く道之助に戸惑いとほのかな嬉しさを持ち始める満江。
ハラハラしたけれど、最期はちゃんと夫新兵衛の元に戻る満江。うん、やっぱり愛だな。
若殿の警備で新兵衛の凄さは再確認されるのだが、満江は結局そんな夫の働きを又聞きする位で
目の当たりにしたわけでもない-----臆病だけれどやはり私は夫の傍に居たいと感じた
裏も世間体も何も関係ない、そのままの姿を愛する妻と夫に乾杯☆

暗殺剣虎ノ目
これは一番ミステリアス風であるというか・・最期後味が薄気味悪かった話ですねぃ。
父・組頭牧与市右ェ門が斬られて志野の許嫁が犯人だと考えた兄達之助。
復讐をして達之助も嫁を貰い、気抜けしたように過ごすようになっつぃ、妹志野も新しい婿に嫁いだ。
しかし、その嫁ぎ先こそが父市右ェ門を殺した真犯人ではないかという片鱗を見せて終わる-----
なんてこったい。(爆)
きっとそうなんだろうけど・・・でもそうでないかもしれない・・という
微妙な余韻で終わってしまうのがまた藤沢氏の味(爆)


必死剣鳥刺し
これもねぇ・・・藩主・右京大夫の性格悪っ!!!という事がしみじみする話だった。
愛妾を殺され、当時は寛大な処分で許した振りをしてずーっと憎しみを持っていたんでしょうねぇ。
根暗!執念深い!気持ち悪い!(爆)
当時に処罰する事も出来たのに・・・延々と冷遇して最期は裏切り者として殺すなんて
上意やら官僚やらは昔っからやることが陰険だよな。
帯屋隼人正を斬れと命令された三左ェ門は、何とか彼を斬った後罠に嵌められていたことを知って
自分こそ反逆者だと言われて囲まれて殺される・・・
最後の最期で"必死剣"の秘剣鳥刺しを遣ったのが・・流石である。
そんなおじをひたすら慕い、彼の子を産んでずっと待っている里尾が哀れで-----
彼女はいつまでも向かいに来ない三左ェ門の死を、いつ知ることになるのだろうか。

隠し剣鬼ノ爪
この話は・・・う~ん哀れと言うか・・・微妙な感じ(ぇ)
自分を狙う狭間弥市郎と勝負することになった宗蔵だが、狭間弥市郎の妻が
夫の命乞いに来た----夫を逃がしてくれるならば自分の身体を差し上げてもいいと。
戸惑いながら必死の思いで狭間の妻を帰した宗蔵だが、彼女はもっと上の人物
堀直弥の元にも向かったようだ・・・しかし、勝負は正々堂々と宗蔵が勝ち
狭間弥市郎は死んでしまう。
その後憔悴しきった狭間弥市郎の妻に会ったが、彼女はひっそりと自害してしまう。
彼女は堀の元に向かい、堀は彼女の身体をもてあそんだ挙句--勝負をやめさせようとか
狭間弥市郎の命を救う行動など一切行わず、素知らぬ顔をしていた。
勝負の後、その事を知った宗蔵は堀を暗道で秘剣鬼ノ爪をもって殺す。
勝負には遣わず、ここで遣ったのがまた・・・まあ短刀術だったからっていうのもあるが
秘剣ならではの組み込み方が巧いと思った。
妻は哀れだが・・・確かにとち狂っていたようにしか見えないよなぁ・・
夫を助けるために自分の身体を差し出すのは何とも・・・

無事命拾いしてもその事を後で夫が知ったらと思うと、結局悲劇にしかならないと思う。
いくら自分を助けるためとはいえ、他の男と身体の関係を持った妻に対して
「おぉ、そうか・・・そんな事してまで、なんと夫思いなんだ!お前の愛を感じる!」
と真っ直ぐに喜ぶ男はいないと思うぞ・・・
男っていうのは女が思う以上に心が狭い事が多いから「他の男と肉体関係を持った」
事をずるずる引きずると思う。「自分のため」というのはその後に考えるだろうな。
まぁいずれ妻の苦しみも判ればうけいれると思うけど時間が必要だろう。


女人剣さざ波

これもまた、夫に対して腹の立つ!
評判の美人の妹だから・・・って理由だけで縁談を決めるってどれだけ軽いんだ!
しかも自分の思っていたような美人じゃないと判った後何も悪くない妻に冷たくするなんて
自分を何様だと思っているのか、と思う。
けれど親の縁談やら多かったこの時代にはこういった事が多かったのではないか、とも思った。
今みたいに自国の裏側にある国の人々さえ気軽に見ることが出来る時代と違って
昔は人相書き等位で写真さえもなかった。
だから直に会うしか本人の本当の顔を確認する事が出来ないのはわかるけど・・・
だからって縁談受けてその態度はマジむかつく!
しかも妻邦江がとても働き者で、とても良い妻なだけに・・・
自分の顔が拙いから夫に冷たくされていると気づいても・・ずっと慎ましい邦江が哀れだ。
最期俊之助の為に闘いをした邦江を見てやっと彼女に謝った。
まだむかつくが・・これからこの夫婦は仲睦まじい事になるだろうと期待しておく。


悲運剣芦刈り
これがね、本当自業自得の話。
嫂とただならぬ関係をずるずる続けていた曾根炫次郎は許嫁の兄を斬って脱藩してしまう。
石丸兵馬は「だから言ったのに・・」と悔しながらも炫次郎を追う役目を負った。
だが炫次郎には秘剣芦刈りを遣う。彼が秘剣を遣えばこちらが確実にやられてしまうだろう。
そこで兵馬は秘剣を伝授した師に秘剣を破るヒントを貰う。
やっと見つけた炫次郎は人相が変わってしまったが、剣の腕は少しも衰えていなかった---
そして予想通り兵馬に芦刈りを仕掛けてくる!・・・が、兵馬はヒントから自分の考えを導きだし
見事秘剣を破った。
恋人(?)が死んだと知った嫂の卯女あその後自害する。
愛しい男の後を追って自殺する・・・ありがちで同情を誘う悲恋のようであるが・・
正直「勝手にやってろよ」という感想しか持たなかった。
何の咎も無く、妹を思っただけの石栗麻之助が炫次郎に斬られてしまったのが最大の悲劇である。
二人の未練がましく揖屋らしい関係に巻き込まれた人達はいい迷惑である。
最初から「こんな関係は続けてはならない」と知っていながら、卯女の色香と身体への性欲に
溺れた炫次郎が馬鹿なだけ。あと卯女も馬鹿。
そんなに思いあっているというのなら、駆け落ちでも縁談の破談でもすれば良かったのだ。
どこか勘違いに酔っていたんじゃないのか?


宿命剣鬼走り
これは・・登場人物が多く感じてしまい、色々「誰だっけ?」と迷いながら読んだ。
しかも主人公の小関十太夫が、前作品の右京大夫とかぶって集中できなかった(爆)
しかも十太夫の子供がどんどん死んでいく悲劇・・・最期は「呪い」紛いの
エピソードまで入っているので色々詰め込み過ぎかな?
一貫しているのは宿敵伊部帯刀と昔女を巡った争い、その渦中の女性満寿と
出家した後の香信尼の話が最初から最後まで描かれている。
彼女は十太夫と伊部帯刀どちらかを選べないから出家した、という事らしいが
本当かなぁ?
そんな理由だけで出家するか?それだけじゃなくて色々積み重なって出家たのかも。
でも未練がましく二人とも香信尼の元に通っているのがなぁ・・・う~ん、いいのか?寺。








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