FC2ブログ
--.--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2014.02.11

航路

コニー・ウィリス氏『航路』読了ー。


航路(上) (ハヤカワ文庫SF)航路(上) (ハヤカワ文庫SF)
(2013/08/27)
コニー・ウィリス

商品詳細を見る

自分が苦手な海外小説ですが、泣ける"有名作"らしいので
初著者でもありながら、手に取ってみました。
舞台はコロラド州デンヴァーの総合病院、マーシー・ジェネラル病院。
主人公はそこに努めているジョアンナ・ランダー博士認知心理学者。
彼女は臨死体験(NDE)について研究を行っており、今日も臨死体験をした
人達へ聞き取り調査をしていた。
そこに同じく臨死体験を研究している神経内科医のリチャード・ライトがやってきて
ジョアンナと共同研究を行う、というストーリーから始まる。

ジョアンナは主に体験者からの聞き取り調査で臨死体験者が「見たもの」
「聞いたもの」「感じたもの」を総合的に分析、解析などを行って
何故臨死体験者は似たような体験をするのかを調べる研究で
リチャードは臨死体験は神経伝達や脳の生化学画像(RIPTスキャン)を使って
臨死体験を記録している研究者。
・・・たぶん、ざっくり言うとこんな感じかと(合ってるかな;)
対する(笑)のはノンフィクション作家、モーリス・マンドレイク。
彼は臨死体験に宗教的なイメージと統合し、死後の世界を超自然現象として
臨死体験者たちの信者(といっても良い)を増やしている。
ジョアンナを勝手に"同志"と思い、彼女がもっと臨死体験を
科学的・医学的ではなく超自然現象として考えるよう説き伏せようとしている。
ジョアンナはそんなマンドレイクを避けに避け続け(笑)、病院内も
彼の動向を気にしながら歩き回る日々だ。
しかも現在のマーシー・ジェネラル病院は工事中やら封鎖中やら
階段ペンキ塗りたてで迷路状態となっている。
正直読んでいてこの病院の見取り図が浮かんでこなかった・・・。
今回読んだ『航路』は自分の場合ハヤカワ文庫SFだったので
厚い上下巻で読み進めた。
なんだかんだあって、やっと共同研究を行う事となった
ジョアンナとリチャード。リチャードは被験者を疑似臨死体験(NDE)させ
その時脳の画像を見つつ、臨死体験中に人体に何が起こっているのかを
調べる実験を行う、という提案をした。
最初不安がっていたジョアンナだが、危険が無いと説得され
被験者達を募ることになった。
だがその被験者達を集めるのにも一苦労、さらに集めてからも
様々な苦労をする二人・・・。
まずマンドレイクの息がかかっていなく、臨死体験に先入観を抱いているでもない
"まとも"な人達を集めなければならない。
そして折角集めたのにも関わらず、被験者が忙しくてスケジュールが合わなかったり
話好きでNDEとは逸れた話をしたり、無口すぎてNDEの話を引き出すのに
何時間もかかる人がいたり・・・で、結構大変なのだ。
しかも病院内にはマンドレイクもいるし、彼が触れ回っているせいで
多くの臨死体験者は彼の思想に感化されまともに話が出来ていない。
これだけでも読んでいる此方側までため息が出てしまう。
こんな中なので勿論ジョアンナもリチャードも目まぐるしく働き
まともな食事を摂れる時間も無いほど・・・いつ二人が倒れないかとハラハラもしたねぇ。


全体の感想としては・・「泣ける本」として知られている今作だけど
自分の中では泣けなかったなぁ。
かといって面白く感じなかった、というのでもなく
「おぉ・・凄いなぁ」と心にどっしり座り込んだ作品だった。
様々な聞き取りや自らの体験で研究へまっしぐらなジョアンナには
感動したし、尊敬したし、心配もした(爆)
冷静で公正な立場を貫き、きちんと客観的にNDEを捉えて
臨死体験を解析しようとした姿勢は凄いですね!
下巻の中盤からは怒涛の様に読み進めました。
「ここからどうなるんだぁぁ」とハラハラして
最期は「ん?ん?」と困惑して読み切れていない部分もありましたが
何だか壮大な物語を読み終えた重厚感はありましたね。
相変わらずカタカナ人名は困りましたが、ストーリーと構成が
しっかりしている物語なので他の海外作品より
人物把握が出来たと思います。
多くの感想はネタバレ大なのであまり書けませんが・・
泣ける作品と言われているのも納得できましたね、自分が泣けなかっただけで(爆)
ミステリーでも人情ものでもないジャンルで、その初でもありましたが
読んでよかった、と思える作品でした!




以下はネタバレ。

物語中盤~最期までのネタバレです。しかもこの作品は

ネタバレ重要な作品でもありますので、未読の方注意です



最初ジョアンナ視点で物語が進み、時折リチャード等別人物視点で
描かれていく『航路』だが、後半につれて様々な人の視点で描かれていきます。
物語はひたすらNDEを解明するために奔走する話。
その中で登場するのがジョアンナ、リチャード他の
ジョアンナの親友でER勤めのヴィエラや、高校時代の恩師ブライアン先生
その姪っ子であるキットや心臓を患うメイジー・・etc
リチャードのRIPD実験を行い、その被験者の証言から
NDEには寒さ・光・暗いトンネルなどある共通認識が一貫していると
判るジョアンナ・リチャードだが、前述した通り被験者の辞退や
スケジュール調整で色々滞ってしまう。
正直自分としてはまどろっこしいなぁっと感じるが
ジョアンナはもっとまどろっこしく感じ(笑)、遂には自分自らNDE被験者となります。
いざ潜ってみると、何かの音が"聞こえた後"狭い通路・・そして先には強い光が漏れている事を感じ、何回かNDE体験をする内ジョアンナはNDE"場所"がタイタニックだと判ります。
(えっ・・・ってことは人は死ぬときタイタニックに乗るのか?
と安直に考えてしまった自分である)
ジョアンナはNDEで何故タイタニックに乗っているのかを調べ始め、
かつて高校生時代にブライアリー先生から聞いたタイタニックに関する話が
キーだと思いだし、ブライアリー先生の家を訪れます。
そこで姪っ子であるキッドと出会って、ブライアリー先生は認知症を患っていると知ります。
それではタイタニックの事も授業のことも聞き出すことは不可能・・
落ち込むジョアンナですが、そこは根性で(爆)自分で記憶をひねり出し
かつての教科書や同級生を調べる事に・・・さらに先生の姪っ子である
キッドにも協力してもらってタイタニックの事を調べてもらう。
自分としてはキッドはここまでの人物かと思っていたけれど
彼女は良き協力者や貴重な調査員としてジョアンナを手助けしてくれる。
同じく病院患者でありジョアンナと仲が良いメイジーも色々調べてくれる・・・
この辺りはリチャードの影が霞んでいるかな(苦笑)
彼なりに色々調べていたのだろうが、ジョアンナがタイタニックについて
調べているときは「あ、いたんだ」位の存在感でした(失礼)
親友であるヴィエラも良き友人ですよねー。
ジョアンナと仲が良いし、彼女の事を良く気遣ってくれている女性です。
二人で映画の事で盛り上がっている部分何か面白いな。
勤務後二人で食べ物をつまみながら映画鑑賞する恒例のディッシュ・ナイト
というのもイイ☆これやりたいな(笑)
思ったのが、ディッシュ・ナイト中は仕事の話は禁止、というルールがあるのに
一回も守られなかった気がする・・・という所(苦笑)
前半はジョアンナのNDE体験・研究が描かれて
彼女は必死に調べるけれど中々「NDEは何なのか?」は掴めない。
しかし、ある転機が・・・
ずっと昏睡状態だった患者・カールという男性が突然目覚めるのだ。
それを知ったジョアンナはいち早く駆けつけることに成功し、カールの奥さん
宿敵マンドレイクも来ていない時点で彼のNDE体験を聞き出そうとします。
最初はぼんやりとしていたカールだが、やがて自分が今まで"何処"に居たのか
どんなものを見たのかを話し始めた。
そしてジョアンナはその話を聞き、自分の体験や今までの臨死体験者の話を統合し
遂に「NDEとは何なのか」を突き止めます!
やったぁ!と意気込むジョアンナはその足で病院を周り
リチャードに知らせようと奔走しますが、彼は中々見つからず・・・
遂には避け続けていたマンドレイクと遭遇してしまう。
いつもなら即逃げるジョアンナだったが、その時ばかりはマンドレイクと
短い会話をする「あなたの言った通りでしたわ」云々・・・
そう、マンドレイクの超自然現象話も一部は正しかった、とジョアンナは判ったのですー。
そしてリチャードが今ERに居ると聞いたジョアンナはERへ向かいます。
そして、悲劇。
ERに親友ヴィエラの姿を見つけたジョアンナは彼女の元に駆け寄る・・
けれどヴィエラは正面の青年を見つめたままで自分には気づかない様子。
そしてさらに近づいた瞬間、青年が振り向いた------
青年の持ったナイフで刺されたジョアンナはその場に崩れ落ちる。
騒然とする現場でジョアンナは只管伝えようとしていた

「リチャードに伝えて・・あれは、SOS」



正直「えええぇぇぇ!?」でした。えぇ(爆)
ここで主人公が死んじゃうの!?しかも長年の研究が判明した時点で!?
しかもERにいる異常者に刺されるという形で!?
という何重もの驚きでした。
しかも何とか持ちこたえるんだろう、と思っていたのに・・葬儀までいくとは。
なんてこった、ジョアンナ!!!! 
リチャードと同じくらいの衝撃を受けたと思いますよ。あぁぁああぁぁ;
必死にすがるヴィエラの姿には思わず目が潤みました・・・なんという悲劇。
そしてジョアンナの臨死体験視点も加わると共にリチャード視点が
主軸となってストーリーは後半へ。
只管ジョアンナの後を追うようにタイタニック・NDEを調べて
ジョアンナが何を伝えようとしたのか、に奮闘する。
そしてその先にあるメイジーの救済へと進みます。
メイジーもまた『航路』で重要かつ「目的」となる少女で
頭がよく回り、周囲の出来事を冷静に見つめる事が出来る・・
ジョアンナの死を受け止めたときメイジーは何を思ったのか
具に描かれていないが、描かれずとも伝わってくる気持ちはありますね。

そしてジョアンナのメッセージにたどり着いたリチャード!やったぜ!(爆)
NDE、つまり臨死体験は脳が送り出すSOSなのである---
そう受け止めたリチャードはジョアンナの悲願である
メイジーの救命にそのNDE研究を役立てる。
メイジーの症状が悪化し、ついに致命的な発作を起こした時
リチャードはあの実験からNDE状態のメイジーを連れ戻すことに成功!
そしてメイジーは意識を取り戻すまで「行ってきた」NDEで起こった
様々な出来事、出会った人物からジョアンナに救われたのだと知る----
ジョアンナは亡くなったけれど、彼女の意思は死んでいなかった!
彼女は死んでもなおメイジーを救ったのです・・・感動。


そしてジョアンナはキッドもまた救っていた。
認知症を患った叔父ブライアリーを世話していたキッドは
精神的にも体力的にも疲弊し、ギリギリの状態だった。
しかしそこに突如現れたジョアンナと出会ったことで救われる。
ここもまた感動的であり、人との繋がりとは貴重なのだと考えさせられますね。


自分はまだ幸いにも臨死体験を体験していないが
いざなったら「戻ろう」と思います。えぇ。
臨死体験をした方が読むとまた違った角度で読めるのかなぁ・・・



に、してもこの作家はどこまでNDEや病気・医療を調べたんでしょうかね。スゴイです。(爆)
スポンサーサイト

この記事へのトラックバックURL
http://koukinnoran.blog32.fc2.com/tb.php/521-04c227cc
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。