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2017.07.08

悲恋斬り

野晒唐十郎シリーズ『悲恋斬り』読了ー。
第六作目にして連作短編集。唐十郎シリーズ初・・?
いつも長編だったので意外でしたなー・・面白さは相変わらずでした。

首斬御用承候
唐十郎生業の一つ、介錯の仕事を受け天野八郎左衛門を斬る際依頼人の横瀬という老人から"三左衛門清光"で斬って欲しいと頼まれる。

悲恋斬り
唐十郎の道場に17,8程の娘が訪ねてきた。
狛城藩、佐伯勘右衛門の娘・菊乃。彼女は同じ藩の山添欣次郎の介錯を頼みに来た。
菊乃の兄と欣次郎が剣試合をし兄が負けた。
その兄が切腹したので、欣次郎にも切腹させて欲しいというのだ。

妖刀躍る
いつもの様につる源に居た唐十郎は弐平から弥次郎が斬られたと聞き、大慌てで駆け付ける。
幸い重体には至らなかった。
次の日、甲州屋の源兵衛から娘が牢人に絡まれていた所、通りかかった弥次郎に助けられたのだと言う。別件として、同時に試刀の依頼を受けていた唐十郎。守り刀の刀で上條辰之進を斬って欲しいと言う依頼だった。
お松にまとわりついていて、昨日の騒ぎの首謀者である男とは"柳剛流"で上條ではないのか?
だが強敵と唐十郎を打ち合わせたくない弥次郎は口を封じたままだった。

邪鬼の剣
奥田孫右衛門より三沢彦九郎の介錯を依頼された。
恩田の息子伸之助は死骸を遣った据物切りの際、刀と騙されて刃引刀を渡されたまま斬り込み、大恥をかいてしまう。そしてそのまま来国俊(刃引刀)で切腹してしまった。
その来国俊を遣って三沢を斬って欲しいとの事だが・・・・。

秘剣虎一足
道場に姉弟が訪ねてきた。
平野甚左衛門娘・清江と浪之介である。彼らは父の仇をとりたいと言ってきたのだ。
手がかりは久光で斬られた事、"虎一足"の秘剣で斬られたのだと言う。
断った唐十郎であったが、その後姉弟の所在を聞いてきた三人の武士に襲われる。

一文字胴
日頃お世話になっているおかねから辰蔵という大工が殺されたと聞き、一人娘のお雪が簪を唐十郎に渡し父親の仇を討って欲しいと頼む。

剛剣鬼一刀
松井重五郎という男が唐十郎の道場に訪ねてきた。指南を申し出てきたのだが、同時に試刀も頼んできた。
国光という刀を鑑定した所、その刀は模造品だと判りその事を伝えると憤怒の形相で出て行ってしまう。

躍り首
遠野の家で"躍り首清正"の試刀を鑑定し模造品だった。
そういうと山城藩安藤孫右衛門なる用心が訪ねてきた時すり替えられたのだ、と話し始めた。
その本物を取り戻してほしいのだと言う。




以下はネタバレ。





首斬御用承候
横瀬から頼まれた天野を斬って欲しいと頼まれ、いつもの様に弐平へ調べを頼んだ。
天野には一緒に逃げた雪江という女が居たのだが、その雪江が天野が暮らしていた家の床下から見つかった。
天野の狂気さを感じ取った唐十郎だが、何故一緒に逃げてまでした女を殺したのか?
その真相は最期、天野自身の口から語られる。
雪江は横瀬の元から逃げたはずなのだが、実は天野と一緒になった後も密かに横瀬と通じていたと言う。それを知った天野は雪江を斬り殺したのだと。
横瀬はこれまでにも自分の女を臣下に押し付けると言う男だったようだ。天野の狂気にもそうだが、横瀬という男にも嫌悪感を抱いた唐十郎。
天野の必殺剣"瀬落とし"を破り唐十郎は清光で介錯を頼まれたが、その時天野は首を斬られるときわざと動いて清光の刃こぼれするよう斬られた。せめて横瀬の刀清光を使い物にならないよう死んだのだった・・。

何とも・・・凄まじい執念ですね。
雪江の死体を敷いたままその家に住んでいた事も然ることながら・・・首切られるとき刀を刃こぼれさせようとするとは・・・凄まじく苦しむ死に方だったというのに。
人間の狂気って本当に恐ろしいなぁ・・。
自分の身を遣って刃こぼれをするまで痛めるとは・・
「アイツを殺したい」という狂気よりも怖い事かもしれない。

悲恋斬り
これは正に悲恋・・・でしたね。
狛城藩、佐伯勘右衛門の娘・菊乃は山添欣次郎をさぞかし恨んでいるだろうと思いきや、実は相思相愛の許嫁だった---
そんな許嫁が兄を打ち負かしてしまった事で兄は切腹し、家に累が及んでしまう。
その事で許嫁が憎くなったのか、というのでもなかった(爆)
一方山添欣次郎も自分が今まで恩を受けてきた佐伯家に害を及ぼしてしまったと思い悩み、許嫁や家の元を去り一人で死のうとしていた。日々衰弱しつつも飲み食いはせずのまま------
一つの試合がこんな悲劇に広がろうとは・・・もはや誰もが悪いわけでもないのに、誰もが苦しんでいる話。

菊乃は欣次郎が憎くて介錯を頼んだわけではなく、一人孤独に死んでいこうとする欣次郎を追って死のうとしていたのだ。
最期には欣次郎もそれを知り必死で止めようとするが菊乃の決心は固かった。
「望み通り介錯してやろう」と唐十郎は刀を振り上げたが、斬ったのは欣次郎の髷のみ。
武士としての欣次郎は今死んだ、これからはお二人で生きる道もあろう、と去っていく。

うーん、カッコイイねぇ唐十郎!流石粋な計らいである

妖刀躍る
弥次郎の怪我一見から広がった今回の事件。
やっと白状した弥次郎から、斬ったのは上條で三尺の長剣、両刃で低い脇構えだと言う-----
さらに弥次郎を斬ったという凄腕の剣士・・今回は強敵に巡り合ったようだ。
調べを頼んだ弐平によると、上條は甲州屋の取り立てで家をつぶされていたのだと判る。上條は敵討ちを果たそうとしているのだ。さらに上條は労咳だという事もわかり、最期にそれをやろうとしているのだ、とも。
そんな事情でも弥次郎を斬ったこともあり、唐十郎は上條に勝負かける。
上條を破った唐十郎。最後は上條自ら脇差で首を切って果てた。

悲劇を生んだ後の悲劇・・・復讐に取りつかれ労咳に苦しんだ男の最期は・・悪人と言えど人間の悲しさがありました。

邪鬼の剣
これもまた痛い悲劇でしたね-----
三沢彦九郎に恥をかかされて切腹した伸之助。
しかし、その時周囲から聞いた伸之助の怯え方はどうも非自然だと感じた唐十郎は弐平に頼んで調べてもらう。
弐平は別件で清吉という失踪事件を抱えていた。
そして昨年秋月という男が辻斬りで斬り殺されていたが、犯人は捕まっていない。その背後にどうやら三沢連中がチラついており、詳しく調べていくと、どうやら三沢は衆道(男色)であり、伸之助はその相手になっていたようだ。

さらに伸之助が斬る予定だった死骸は三沢が用意した清吉の死骸だった。伸之助は清吉に惚れていたので首が無い死体でも判ったのだ。
その死骸が清吉だと知った伸之助は怯えと動転のあまり刃引刀に気づかなかったのだろう・・そして死んだ。
伸之助が清吉に惚れていると知った三沢が伸之助に思い知らせようとした行為だったのだ。
さらに三沢から秋月も自分がやったと聞く。秋月は自分ではなく女に惚れたから殺したのだ。

最期三沢もやられたが・・・
何とも醜い嫉妬・・・何とも惨い仕打ちでしょうかね。
自分が惚れた相手の首なし死体を見せられた時の恐慌は想像できない。
しかも全て知ったうえで斬らせようとした三沢のおぞましい陰謀がまた陰湿極まりない。
事件は片ついたが・・悲しい話でした。

秘剣虎一足
突然父の敵討ちを頼み転がり込んできた姉弟。
しかしそんな姉弟を狙った武士達も襲ってくる。背景に何があるのか?
その疑問の中高城藩・佐々木主馬という男がやってきて姉弟の警護と敵討ちを頼まれた。
どうやら姉弟の父平野は久光を奪った男に気づかれて殺されたらしい。
その姉弟を襲う際雇われた戸田左馬之介という男がかなり遣い手で、その相手は唐十郎がやったが
本島の仇は見事姉弟がとる。
幼いながらも必死に生きる姉弟がかわいらしかったかな。

一文字胴
唐十郎と弥次郎は鷹野道場で"一文字胴"という剣を見る。
その手口から下手人の健闘がついていたけれど・・中々根深いものだったんじゃないかなー・・
でも巻き添えで殺された辰蔵は可哀想だし・・・お雪の敵討ちも取れたのは良かったのかなぁ・・?



剛剣鬼一刀
松井重五郎という男が突然出て行ってしまった後日、"鬼一刀"の切り口で馬念流の門弟が殺されていた。
つる源の帰りには突然四人の牢人に襲われた唐十郎。
そしてまた別の日にはあの模造品とそっくりの"兜割り国光"を見た。秋葉左衛門という男からの試刀依頼である。
どうやら秋葉という男は松井に偽物をかませたのだった。そして本物は高く売り渡そうと高坂藩に渡そうとしていたのだが、先日偽物だと松井が気づいた、といった次第。
悪どいやり方で罠に嵌められた松井に唐十郎は闘いで模造品と同じ瑕をつけた国光を渡してやる。
実な剣客をはめるのは・・いくら無関係の牢人(?)といえど反発してしまうよね、うん(苦笑)

踊り首
最初持っていた刀を奪われたと訴えた遠野こそが安藤孫右衛門をはめた悪人だったと知った唐十郎は遠野を斬る。こちらも剛剣鬼一刀と似たような感じ(?)ですかね。
悪人だと思っていた人物が逆に騙されていた・・・みたいな。

珍しく短編集でしたが、楽しく読めました!
ちょっと情報錯そうしている箇所があるかもしれませんが・・・ご了承を(ぇ)
短編集も楽しいのですが、伊賀者・相良と咲の出番が減ってしまうので、自分としては長編がいいかなぁ。読みやすいのは断然短編集ですがね






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Posted by 本が好き!運営担当 at 2017.07.26 20:37 | 編集
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