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2014.07.05

さむらい死恋の剣

鳥羽亮氏『さむらい死恋の剣』読了ー。
『さむらい遺訓の剣』に引き続きの読了だが、そうやら同じ「さむらい」でも前作との繋がりは無い・・・?ようだ。主人公も藩も全く異なっている。

さむらい 死恋の剣 (祥伝社文庫)さむらい 死恋の剣 (祥伝社文庫)
(2006/10)
鳥羽 亮

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前作の続編かと思っていたのでややガッカリ(苦笑)でもまぁ、これはこの一つの作品として読み終えた。
城下の古刹、紅葉の美しい道で牢人に囲まれていた若い娘と侍女(だっけ)を一刀流の待田恭四郎が
偶然通りかかり、助けた。まさにその時二人は淡い想いを抱き始めた。

しかし待田恭四郎は奥州倉西藩十七万石の家。そして助けた娘は徒目付頭・奥泉孫太夫の一人娘・芳江である。持田家は最近藩主に取り入って専横をする小田島家の行動が目に余り、
持田一派と小田島一派の対立が深まってきた・・・そして奥泉は小田島一派なのである。

相反する、そして政敵でもある相手に惹かれあう恭四郎と芳江だが
ある日、決定的な悲劇が襲う。


うーむ・・一言でいえば時代物ロミオとジュリエット、だろうか?
タイトル通り、死恋の物語でありましたが・・・この時代、現実に起こっていた事ではないでしょうか・・。
特に武士やら名家はこういったことが多く起こっていそうで切なく、哀しいものであります。
藩の世継ぎ問題や内部分裂に巻き込まれた二人の男女と悲劇。
全体的に暗く、悲しい作品だったように感じます。
対立するにしても同じ藩----何とかこの対立を穏便に済ませたいものですが

やはり血みどろの斬り合いになってしまいましたねー・・・はぁ。
家臣の苦労は藩主の器や聡さと比例・反比例するものなんだと感じました。
他の作品でも同じように感じましたが、やはり藩主というものは大きいですねー・・
血の繋がりだけで藩主の座を受け継ごうとも、一度"藩主"になってしまえば
聡くとも愚鈍でも家臣は仕えなければならないし、藩主は藩主として生きていかなければならない。
世継ぎ問題はきっとどの地方でも------否、この時代はどの国でも起こっていた事だろうし
こうした対立や骨肉の争いは絶えなかったろうと思う・・・
悲劇なのはそれに巻き込まれた人達だろう。この作品では恭四郎と芳江だが
他の作品でも同じように巻き込まれて悲劇に遭っていた。

辛く悲しい話なのだけれど、自分としては正直「うーん・・」となってしまう作品でもあった。
それは後述するが、タイトル通りの作品であった事だけは明記しておこう。











以下はネタバレ。








繰り返しだが(苦笑)ミステリーではないのでネタバレというより
結末に触れる部分を書くため、未読の方はご注意下さいー。

持田家と小田島家の対立は、そもそも小田島が藩主に取り入り暴政や不正を
行っていた事に始まり、そんな小田島に寵愛をしていた藩主が駄目ダメなのだ(爆)
勿論藩主は小田島がそんな政をしているとは思わず、万事小田島に任せたまま
上手くいっていると騙されていた。
持田一派ら重臣が何を言っても信じなかったのが現状で、そんな状況を打開しようと
持田一派が血判状を持ち出し、今藩の困窮を直訴する。
しかし小田島はそれを黙って見ている訳もなく、次々と持田一派らを暗殺していく。
その手は遂に恭四郎の父に及び、恭四郎は自分の目の前で父を殺されてしまう。
顔を隠してはいたが、斬った相手は奥泉孫太夫------芳江の父親である。
それまで隠れて逢瀬していた二人だったが、以来恭四郎は芳江と会わない様になった。
父親が殺された以上、その敵討ちは武士として生きる路----仇は愛する女の父親であろうと
斬らなければならないのだ・・という葛藤に苦しむ。

一方芳江もそんな対立や恭四郎の様子から自分の置かれた立場を察し、
必死の思いで恭四郎に会いに行くがやはり自分の父親が恭四郎の父親を殺したと確信して
「仇を討ってください」と告げる。そして芳江はそのまま自害------自分のせいで
恭四郎が苦しむのを見るに見かねた結果だったのだろうと思う。
しかし周囲は何故芳江が自害したのか判らぬままで、誰にも告げる事は出来ず
恭四郎はさらなる苦しみに見舞われる。
そして藩内の対立は小田島一派を殲滅し、藩主の信頼を取り戻すことで一件落着となった。
だが土壇場で小田島家から切り離された奥泉孫太夫は行方不明のまま・・・
そんなある日小田島が何者かに斬り殺される・・下手人は孫太夫だと察知した恭四郎。
その通り、孫太夫はそのまま恭四郎の前に現れる。

ここで一つ驚いたのが、孫太夫は薄々娘・芳江が恭四郎と通じ合っていると知っていたらしい。
二人が一緒に居る所を見たものがあり、恭四郎は孫太夫に近づくため芳江を籠絡して自害に追い込んだ
と思っていたらしいのだ。恭四郎の口から真実を知り驚く孫太夫であるが
「娘が死んだのはお前のせいである事に変わりは無い」と言い、斬りかかってきた。
その通りだ、と思いつつ遂に父親の仇に出会った恭四郎は同じく剣を振るう。
そして斬られた孫太夫はそのまま息絶えるのだが、恭四郎はそのまま武士として生きていく-----




と、いうのがざっくりとした物語の結末。
藩内で勃発した対立で殺され、殺し合い・・これはこの時代だからこんなにも斬り合いが起こってしまう・・のでしょうな、やはり。
藩主が小田島の暴政に気づいてさえすればこんな事にはならなかったのだが・・・
まぁ家臣が主君に気づかれずに政をするのはこの時に限ったことではないんですよねー・・
しかも信用しきってしまったら"こう"なってしまうのも仕方ない・・かな?
大きなお家争いに加え、今回は悲恋が加わって一層の「悲」を感じさせますね。
これがむしろ本筋・・?タイトルも『死恋の剣』だし。

しかし、正直自分にとっては・・・え~・・・二人の想いが「上辺だけ」のような感じがしてなりません(爆)
それは二人の想いが軽いとか表面だけ偽っていた、というものではなく
物語として・書き方として上辺だけ、という意味でありますね。
うーん、上手く言えない・・・難しいな
二人が出会ったのは芳江が牢人に絡まれていたところを恭四郎が助け、その時から
二人は次第に惹かれあった-----というのは良いと思うのですが(上から)
その後の二人は"単なる逢瀬"をしているだけで、何故二人がこれほど深くつながっていったのか
割愛されていたような・・二人がやっていることは単なる肉体関係を結んでいるだけの
愛人関係みたいだったんですよね・・もっとこう・・心の繋がりと言うか「この人のこういう所が好きだ」とか何か惹かれあう具体的な要素が無くて(感じられなくて)身体だけの遊びの関係と変わりない様に思ったなぁ。
二人が心の底から惹かれあい、哀しんでいる描写はよく伝わってきたのですが
「え?相手のどんな所に惹かれたのか分らないまま愛が深くなってない?」
という疑問がずーーーっと続いて終わっちゃいましたね。
「悲恋」や「恋」をタイトルに挙げるなら二人だけの時間や二人だけの会話の中で相手がどんな風にどれだけ想っているのか、を書くのが大事だと思うんですがねぇ・・・
だから二人の葛藤や芳江の死という悲劇もどこか上滑りで、悲しいのは判るけど
ずっとコソコソしていたんだから今更そんな急がなくても、とか思ってしまう(爆)


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